貞操権侵害で慰謝料は請求できる?必要な証拠の例や集め方を解説

貞操権侵害で慰謝料は請求できる?必要な証拠の例や集め方を解説
証拠収集調査

結婚を約束した交際相手が実は既婚者であった場合、相手に対して慰謝料を請求できます。このように慰謝料を請求できるのは、貞操権侵害が関係するためです。

相手に慰謝料を請求するには、貞操権侵害を立証できる証拠を集めておく必要があります。この記事では、貞操権侵害についてや慰謝料請求に必要な証拠の集め方などを解説します。

目次

貞操権侵害とは?

貞操権侵害とは?

貞操権侵害とは、個人が恋愛関係や婚約関係において、純粋な恋愛感情や結婚の意思を持って相手と接する権利を侵害することです。具体的には次のようなケースが挙げられます。

  • 交際相手が既婚者であるに関わらずその事実を隠しながら交際を続けている
  • 独身と偽ることで交際相手を欺き心理的・肉体的に関係を進めている

これらの行為は相手に対して重大な精神的苦痛を与えるため、日本では貞操権侵害として扱われます。

貞操権侵害は、ただ単に交際関係にあったというだけでは成立しません。相手が既婚であることを隠して独身と偽り、婚姻の意思を持っていると誤解させたことや、それに基づいて被害者が人生に影響を及ぼすような関係を築いた場合に初めて認定されます。このような場合、被害者は交際相手に対して慰謝料を請求する権利が認められています

貞操権侵害は慰謝料請求が可能

貞操権侵害は民法における不法行為とみなされます。民法では第709条、710条で不法行為が発生した場合、損害された人への賠償責任を認めています。(※1

を認めています。つまり、貞操権侵害は慰謝料請求が可能といえるでしょう。

貞操権侵害において、請求できる慰謝料の額はケースに応じて異なるものの、相場は50万円から200万円ほどとされています。慰謝料額に影響を与える要因には、交際期間や肉体関係の有無、相手が結婚を示唆していたかどうか、被害者が受けた精神的苦痛の程度などが含まれます。

とくに長期間にわたって交際していた場合や、婚約や結婚を期待させられた状況があれば、慰謝料額が増えることがあります。

また、相手が交際初期から既婚であることを隠し、独身であるかのように振る舞った場合は、被害者が貞操権侵害と感じた理由や経緯が重視されます。反対に、相手が既婚者であることを知っていて交際を続けた場合や、単なる恋愛関係であり真剣交際の意思が認められない場合は、貞操権侵害と見なされない可能性もあります。

(※1)e-GoV法令検索「民法」第七百九条(不法行為による損害賠償)、第七百十条(財産以外の損害の賠償)

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

貞操権侵害の証拠となるもの

貞操権侵害で慰謝料を請求する際には、相手が独身であると偽っていた証拠や、結婚を示唆していた証拠、肉体関係があったことを示す証拠が必要です。ここでは具体的な証拠の種類とその重要性について解説します。

交際相手が独身と嘘をついていた際の証拠

交際相手が独身と嘘をついていた場合、相手が独身であると明言したメッセージや、SNSの投稿などが有力な証拠となります。これにより、被害者が相手を独身者と信じて交際していたことを示すことができます。例えばLINEやメール、SNS上でのやり取り、または第三者からの証言なども含まれます。

交際相手が結婚をにおあわせた際の証拠

交際相手が結婚をにおあわせた際の証拠

独身と偽って交際する人のなかには、交際相手に結婚をにおわせる人もいます。貞操権侵害を主張する際、交際相手が結婚をほのめかすような発言や行動も重要な証拠となります。例えば、結婚を前提とした交際をしていると伝えられたメッセージや、将来の結婚生活を期待させるような発言がこれに該当します。こうした証拠があれば、被害者が交際相手との将来を真剣に考えていたことが立証しやすくなります。

次のような物も証拠として期待できるでしょう。

  • 結婚式場の予約メール
  • 親への挨拶
  • 結婚指輪の領収書

交際相手と肉体関係を持った際の証拠

独身と偽っていた交際相手が、嘘を認めても肉体関係は否定することがあります。肉体関係の有無は被害者が精神的な損害を受けた証明として、交際が単なる友情や恋愛関係を超えていたことを示すことで、慰謝料請求が認められる可能性が高まります。

そのため、交際相手との宿泊先の領収書や肉体関係が分かるメッセージのやり取り、または写真などの証拠を集めて肉体関係があった事を証明しましょう。

貞操権侵害の慰謝料を請求する方法

貞操権侵害は相手に対して慰謝料を請求可能です。慰謝料を請求する方法は大きく次の2つです。

  • 交渉で請求する
  • 裁判で請求する

交渉で請求する

相手と直接交渉によって慰謝料を請求する方法です。直接交渉による慰謝料請求はコストがかからないというメリットがあります。また、相手が納得すれば裁判を回避できるため、スピーディに慰謝料を得られる可能性があるでしょう。

直接交渉する場合、冷静さを保てるかどうかがポイントです。自分を騙した相手の顔を直接見ることにストレスを感じることもあるでしょう。とくに、相手が慰謝料に誠実でない場合、よりストレスが溜まってしまいます。

直接交渉で慰謝料を請求する場合、証拠が不十分だと相手に慰謝料を拒否される可能性もあるため、しっかりと証拠を固めておくことが重要です。また、感情的な対立がある場合には、直接交渉が困難になりかねないため、第三者に介入してもらうことがポイントです。

書面で請求することも可能

内容証明郵便にて請求することもできます。内容証明郵便であれば郵便局が送付の事実を日時を含めて担保してくれるため、送った・受け取っていないという水掛け論の発生を防止できます。しかし、書面で請求したとしても相手が請求や交渉に応じるとは限りません

裁判で請求する

裁判で請求する

交渉が不成立の場合、最終手段として訴訟を提起します。裁判所に訴状を提出し、法的に慰謝料の支払いを求めます。訴訟の際に活用するのが、これまでに集めた証拠です。裁判は時間と費用がかかるため、事前に弁護士と十分に相談し、リスクとメリットを検討することが必要です。

調停による請求も可能

裁判ではなく調停によっても慰謝料を請求できます。調停は裁判所で第三者である調停委員を交えて話し合い、双方の合意を目指す手続きです。まず、家庭裁判所に調停申立書を提出し、必要な証拠を準備します。調停では不倫の事実や精神的苦痛を具体的に説明し、適正な慰謝料の金額を求めます。調停委員が中立の立場で双方の意見を聞き、合意に向けた提案を行います。

調停が成立すれば、その内容は法的拘束力を持ち、裁判よりも費用や時間が抑えられます。また、非公開で進められるため、プライバシーの保護にもつながります。しかし、調停で話し合いがまとまらなかった場合、裁判を起こす必要があります。

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彼氏が既婚者かどうか確認する5つの方法

彼氏が既婚者かどうかを確認するのであれば、次のような5つの方法を試してみましょう。

  • 彼氏のSNSをチェックしてみる
  • 彼氏の私物を確認してみる
  • 彼氏のスマホをチェックしてみる
  • 彼氏に直接確認してみる
  • 探偵に素行調査を依頼する

しかし、確認方法によっては法律に抵触する可能性があるため注意が必要です。

彼氏のSNSをチェックしてみる

彼氏のSNSをチェックしてみる

彼氏が既婚者かどうかを判断する方法のひとつが、SNSのチェックです。SNSの投稿内容を追ってみて、過去に子供との写真や「奥さん」「妻」「嫁」といった内容の投稿をしていないかどうか確認してみましょう。

SNSの中でも、Facebookは既婚か未婚かを任意で設定可能です。彼氏が既婚者である場合、既婚の設定にしている可能性があります。

彼氏の私物を確認してみる

彼氏の私物を確認することでも、既婚者であるかどうかを判断できます。例えば子供の写真、家族と行ったと思われる遊園地や飲食店のレシートなどが荷物の中に含まれている場合、既婚者の可能性が高まります。

彼氏の私物を確認する場合は、相手がその場を離れているときにしましょう。万が一私物をチェックしていることがバレた場合、トラブルに発展しかねません。

彼氏のスマホをチェックしてみる

既婚者であるかどうかを把握するのであれば、彼氏のスマホをチェックするという方法があります。スマホに妻や子供の写真が保存されている場合、既婚者と判断できます。

しかし、彼氏のスマートフォンを無断でチェックする行為は、不正アクセス禁止法プライバシーの侵害に該当する可能性があります。たとえ恋人や夫婦間であっても、相手の同意なくスマホを操作することは法律で禁じられています。このような違法行為によって得た証拠は、裁判で認められないだけでなく、自身が刑事責任を問われるリスクもあります。

彼氏に直接確認してみる

彼氏に既婚者であるかどうか、直接確認するという方法もあります。彼氏に直接確認する際は、根気よく尋ねることがポイントです。しかし、相手の様子に注意が必要です。イライラし始めているのに質問を投げ続けると相手が逆上しかねません。

また、彼氏に直接確認する際は証拠を提示してみましょう。証拠がないままではシラを切られるかもしれません。証拠を提示することで、素直に認める可能性も高まるでしょう。

探偵に素行調査を依頼する

探偵に素行調査を依頼する

彼氏が既婚者なのかどうかは、探偵に素行調査を依頼する方法でも把握できます。探偵による素行調査とは、調査対象が信頼のおける人物なのか、収入や借金があるのか、ギャンブル癖があるかなどの調査を指します。

探偵は素行調査によって相手の行動範囲や交友関係を調査するため、彼氏に家庭があるのかを判断できます。また、探偵であれば彼氏が既婚者である証拠を押さえることも可能です。

探偵に素行調査を依頼するのであれば次のような点に注意しましょう。

  • 素行調査を得意としている探偵かを確認する
  • 持っている情報はすべて伝える
  • 契約内容を把握する

素行調査を得意としている探偵かを確認する

彼氏の素行調査を探偵に依頼する場合、どのような調査を得意としているかを確認することが大切です。

探偵は素行調査に限らず、さまざまな調査に対応していて、得意とする分野があります。当然、素行調査を得意としている探偵と素行調査を得意としていない探偵では、知識や専門性が異なります。素行調査を得意としている探偵であれば、高い専門性によって彼氏の実態を調査してくれるでしょう。

持っている情報はすべて伝える

依頼者からの情報量は探偵の素行調査を左右する要素です。情報が少ないと素行調査に時間がかかるため、調査費用もかさんでしまいます。そのため、持っている情報はすべて伝えましょう。

情報によっては他人に伝えたくないと思うかもしれませんが、恥ずかしがらずに伝えておきましょう。

探偵には探偵業法に基づき、秘密保持を守る義務があります。(※2)これを破ると営業停止、または営業廃止などの処分を受ける可能性があるため、公安委員会に届出を行っている探偵事務所であれば、顧客の個人情報を外に漏らすことはまずないでしょう。

共有を躊躇していると、不要な調査時間、調査費用が発生してしまいます。

(※2)e-GoV法令検索「探偵業の業務の適正化に関する法律」第十条(秘密の保持等)

https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC1000000060#Mp-At_10

契約内容を把握する

探偵に素行調査を依頼するのであれば、契約内容をしっかりと把握しておくことも重要です。契約内容は料金だけでなく、調査する範囲、報告方法などを確認します。

契約内容と同じく確認しておくべきなのが、探偵の許可状況と行政処分の有無です。探偵は探偵業届出を提出し認可されていることを示す標識を営業所やホームページに掲載することが求められています。

また、過去に法律に抵触しているなど、トラブルがあった場合は行政処分が下されています。行政処分は管轄の警察ホームページから把握できます。標識を掲載していない、行政処分を下された探偵に依頼すると、トラブルにつながりかねません。契約内容とあわせて状況を確認しましょう。

交際相手の素行を調査してモヤモヤを晴らそう

貞操権侵害とは、個人が恋愛関係や婚約関係において、純粋な恋愛感情や結婚の意思を持って相手と接する権利を侵害されることです。例えば交際している相手が既婚者であるにも関わらず偽っているケースなどが該当します。貞操権侵害があった場合、相手に慰謝料を請求できます。

貞操権侵害で慰謝料を請求するのであれば交際相手が独身と嘘をついていた際の証拠、交際相手が結婚をにおあわせた際の証拠などを集めておきましょう。

証拠収集は自分でも可能ですが、トラブルにつながる恐れがあるため、探偵に素行調査を依頼するのがおすすめです。

アイヴィ・サービスでは素行調査を実施しています。交際相手の素行が気になるという方はぜひご相談ください。

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