もし家族や親族が失踪してしまった場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
しかし、いざ家族や親族が失踪したという状況では、混乱して適切な対応を取れないかもしれません。
そこでこの記事では警察に捜索願(行方不明者届)を提出した際の発見率、捜索願(行方不明者届)の提出方法、警察の捜索が進まなかった場合の対処法などを解説します。
捜索願(行方不明者届)を出して発見される確率はおよそ80%
警察庁の発表によれば、2022年度に警察に捜索願(行方不明者届)が提出された人の数は、8万4,910人です。前年の2021年度が7万9,218人だったため、5,692人も行方不明者が増加してしまっています。男女別、成人・少年別でみると失踪者の割合は次のとおりです。(※1)
男性 | 女性 | 成人 | 少年 |
---|---|---|---|
5万4,259人 | 3万651人 | 7万1,808人 | 1万3,102人 |
男女別でみるとわずかに男性が、成人・少年別にみると多くを成人が占めています。
このうち、警察もしくは行方不明者届の届け人によって所在が確認できたのは、6万7,415人でした。つまり全体の約80%の人が発見にいたっていることがわかります。(※1)
では行方不明者届の提出から発見までどれくらいの時間がかかっているのでしょうか。
6万7,415人のうち半分にあたる3万6,918人が、行方不明者届が提出された当日のうちに発見されています。(※1)
一方、行方不明者届提出から日数が経過すると発見率が低下し、反対に死亡率が高まっていってしまいます。
そのため、家族や親族が失踪してしまった場合は、すぐに警察に行方不明者届を提出しましょう。
(※1)警察庁:令和4年における行方不明者の状況
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/fumei/R04yukuefumeisha.pdf P3,P6,P7
警察による所在確認が実施された件数
警察は行方不明者届が出されている人のうち約80%を発見しています。しかし、すべての人の捜索がおこなわれたわけではありません。
警察によれば、所在確認が実施された人数は8万653人で4,257人、約6%の人は所在確認がおこなわれていません。(※1)
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捜索願(行方不明者届)の提出方法
行方不明者届はこれまで「捜索願」として広く知られていました。しかし、2010年に『行方 不明者発見活動に関する規則』が施行されたことで「捜索願」から「行方不明者届」に変更されています。(※2)
行方不明者届を提出する際は提出する場所、提出できる人、提出に必要な書類を把握しておきましょう。提出できる場所、提出できる人などは以下のとおりです。
提出できる場所 | 行方不明者の住所地もしくは直前まで居住していた住所を管轄する警察署 |
---|---|
提出できる人 | 親権者、配偶者、後見人など親族や監護者行方不明者の福祉に関する事務に従事する者同居者、恋人、雇主など行方不明者と密接な関係を有する者 |
提出に必要な書類 | 行方不明者の写真届出人の印鑑 |
電話では失踪した人の捜索願を警察に依頼できません。
行方不明者届を提出するには行方不明者の住所地もしくは直前まで住んでいた地域の警察署に赴きましょう。
なお、遠方に住んでいて失踪した人の地域の警察署に行けない、届出人が高齢で行方不明者の地域の警察署まで向かうのが難しいといった場合は、最寄の警察署でも提出可能です。
行方不明者届提出にあたっては行方不明者の最近の写真、届出人の印鑑が求められるため、事前に用意しておきましょう。
また、次のような情報を警察署で尋ねられる可能性があります。
- 本籍、住所、氏名、生年月日
- 身体的な特徴、行方不明となった時の服装、所持品
- 使用している車
- 立ち寄る可能性がある場所
その場で質問されても回答できるように、警察署に向かう前に失踪者の情報をまとめておくのがおすすめです。
(※2)e-Gov法令検索:行方 不明者発見活動に関する規則
捜索願(行方不明者届)の不受理届が提出されている場合
警察に行方不明者届を届け出ることで、失踪者の捜索が期待できます。しかし、失踪者本人から不受理届が警察に提出されている場合は警察に捜査してもらえません。
不受理届とは、失踪者本人が警察に行方不明者届の受理を拒否してもらうことを願い出るための書類です。
不受理届はすべての人が提出できるわけではありません。不受理届を提出できるのは次のような状況にいる人に限られます。
- 配偶者からDVやモラハラの被害をうけている人
- 元配偶者や元恋人などからストーカー行為をうけている人
そのため、失踪者が借金を理由に失踪している、仕事のミスを理由に失踪しているといった理由であれば、不受理届けは提出されていないでしょう。
捜索願(行方不明者届)が受理されても積極的に捜索してもらえないケース
失踪者本人が警察に不受理届を提出していなければ、行方不明者届は受理されるでしょう。しかし、行方不明者届が提出されているからといって、警察が積極的に捜索するわけではありません。
一般的に警察が積極的に捜索するのは、事件性が疑われる失踪です。
このような失踪は特異行方不明者として扱われます。
一方、事件性の疑いが少なく、特異行方不明者として扱われない失踪は警察による捜索が進まない可能性があります。
これは、民事不介入の観点に則っているためです。
捜索が進まなくても行方不明者届の提出は一定の効果が期待できる
警察に行方不明者届を提出しても、事件性が疑われなければ捜索が進まないかもしれません。だからといって、行方不明者届の提出が無意味というわけではありません。
行方不明者届を受理した警察署は、全国の警察機関が確認するデータベースに登録します。
失踪者が他の地域で警察に見つかった場合でも、データベースを照合することで、家族や親族に連絡が届くようになります。
そのため、警察が捜索を開始しなくても、行方不明者届を提出することで、なんらかのきっかけで失踪者発見の連絡がくるかもしれません。
特異行方不明者の条件
警察による捜索の対象となる特異行方不明者の条件は『行方不明者発見活動に関する規則』にて次のとおり定められています。(※3)
- 殺人、誘拐等の犯罪により、その生命又は身体に危険が生じているおそれがある者
- 少年の福祉を害する犯罪の被害にあうおそれがある者
- 行方不明となる直前の行動その他の事情に照らして、水難、交通事故その他の生命にかかわる事故に遭遇しているおそれがある者
- 遺書があること、平素の言動その他の事情に照らして、自殺のおそれがある者
- 精神障害の状態にあること、危険物を携帯していることその他の事情に照らして、自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある者
- 病人、高齢者、年少者その他の者であって、自救能力がないことにより、その生命又は身体に危険が生じるおそれがあるもの
いずれも、すぐさま捜索を開始しないと命の危険があります。それぞれの条件について詳しくみていきましょう。
(※3)e-Gov法令検索:行方 不明者発見活動に関する規則
殺人もしくは事件に巻き込まれている可能性がある人
殺人もしくは事件に巻き込まれている可能性がある人は警察の捜索の対象です。
例えば、ストーカーの被害にあっていた、失踪した部屋に血痕が残っていたといったケースなどは事件性が高いため、警察の捜索対象となるでしょう。
失踪者が子供
失踪者が子供である場合、事故や誘拐の被害が考えられます。
そのため、警察による捜索が開始されます。
しかし、失踪者が高校生や大学生の場合、家出の可能性が考えられるため、警察の初動が遅れてしまうかもしれません。
事故や災害の被害にあった可能性がある人
事故や災害で行方がわからなくなってしまった人も警察の捜索対象です。
行方がわからなくなってしまった人が大きな事故や災害現場にいた可能性があれば、警察に捜索をお願いしましょう。
しかし、行方不明になるまでの本人の動向の説明や、事故現場、災害現場にいた証拠の提示を求められる可能性があります。
遺書を残している・自殺の可能性がある人
遺書を残して失踪した人、自殺の可能性がある人も警察の捜索対象です。
失踪した人が遺書を残している、自殺をほのめかしているといった場合はすぐに警察の捜索を依頼しましょう。
精神状態が不安定で他人や自分を傷つけかねない人
警察の捜索対象には精神状態が自分を傷つけかねない人も含まれます。また、このような人は妄想によって他人を傷つけてしまう可能性があります。
そのため、他人への被害を出さないためにも警察が捜索を進めてくれます。
病人や高齢者など一人では危険がある人
病人や高齢者、年少者などが失踪してしまうと、一人で生活していくのが難しいでしょう。
命の危険も考えられるため、このような人たちも特異行方不明者として扱われます。
特に認知症の高齢者の失踪は数多く発生しているため、高齢の家族や親戚が失踪してしまった場合は警察に相談しましょう。
一般的に認知症の人が失踪してしまった場合、5日経過すると生存率が大きく低下するとされています。
そのため、認知症の家族が失踪してしまった場合は早めに警察に行方不明者届を提出することが望まれます。
警察の捜索以外での捜索方法
失踪してしまった家族や親族が特異行方不明者にあてはまるのであれば、迅速な行方不明者届の提出が望まれます。
しかし、失踪者が特異行方不明者にあてはまらない場合、警察への行方不明者届提出に加えて、独自の捜索をする必要があります。
警察への依頼以外の捜索方法は大きく次の2つです。
- 自分で探す
- 探偵に依頼する
それぞれの捜索方法やポイント、注意点などを解説します。
自分で探す
失踪してしまった家族や親族は自分で探すことが可能です。
失踪者との関係性によっては本人の戸籍附票や住民票の除票を請求できる可能性があります。
戸籍附票や住民票の除票からは失踪者がどこに住所を置いていたかを確認できます。
このような情報をもとに失踪者の足取りを追ってみましょう。
また、インターネットやSNSで情報を収集する、失踪者が勤めていた職場に聞き取りをおこなうといった方法も挙げられます。
しかし、個人で失踪者を探すには時間と労力が多くかかってしまうでしょう。
時間と労力だけかかって、結局見つけられない可能性もあります。
失踪者が親族であっても個人情報の取り扱いには注意が必要です。
失踪者のプライベートな情報をインターネットやSNSに掲載してしまうと、プライバシーの侵害を疑われかねません。
探偵に依頼する
失踪した家族や親族の捜索は探偵への依頼を検討してみましょう。
探偵は一人で調査をするわけではありません。複数人の調査員で失踪者の足取りを追うため、個人よりも効率的に調査を進められます。
聞き込みや尾行などは素人がやっても成果に結びつかない可能性があります。
しかし、人探しの経験が豊富な探偵であれば、専門的な技術で満足いく答えを引き出してくれるでしょう。
探偵に失踪者の調査を依頼する際は費用に注意しましょう。
一般的に探偵に依頼する際の費用は調査日数、調査内容によって異なるため、依頼時に明確な金額がわかりづらい傾向にあります。
そのため、人件費や交通費、機材費用、報告書作成費用などがまとまったパック料金を用意している探偵への依頼がおすすめです。
探偵に人探しを依頼する場合、失踪から日が浅く、失踪者本人の情報が多くある方が短期間で調査が完了する傾向にあります。
すぐに失踪者を見つけたいと考えている方は、早めに探偵に依頼して、可能な限り多くの情報を提供しましょう。
家族や親族が失踪してしまったら早めに警察と探偵に相談を
家族や親族が失踪してしまったら、早めに警察に行方不明者届を提出しましょう。行方不明者届を提出して警察が捜索をしてくれれば、多くの人が受理の当日に発見されています。
しかし、事件性の疑いがなく警察の捜索が遅れてしまうケースもあります。その際は自分で調べるのではなく、探偵への相談がおすすめです。
探偵であれば事件性の有無に関係なく失踪者を捜索してくれます。
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