パートナーが不倫をした場合、人によっては心を入れ替えるケースがあります。しかし、なかにはほとぼりが冷めたタイミングなどで再び不倫をしてしまうパートナーもいるでしょう。このように不倫を繰り返すパートナーに対しては、慰謝料の請求や増額は認められる場合があります。
この記事では、不倫を繰り返しているパートナーへの慰謝料請求や増額できるケースについて解説します。
繰り返しの不倫に再度慰謝料を請求できる?
パートナーが不倫をした場合、民法における不法行為とみなされ慰謝料を請求できます。これは、パートナーが繰り返し不倫している場合も同様です。
しかし、不倫を繰り返すパートナーの不倫相手が同じ人である場合と別の場合では、条件によって慰謝料請求ができないケースもあるため注意が必要です。以下でくわしく説明します。
同じ人と不倫をしている場合
同じ人と繰り返し不倫をしている場合、再度慰謝料請求が可能です。一度目の不倫で慰謝料を請求して示談が成立していたとしても、その後、同じ相手と関係が再開された場合は、別の不法行為とみなされ、再度請求することが可能です。
しかし、同じ人と不倫をしている場合は、清算条項の有無が大きく関係します。清算条項とは、示談によって「これ以上、この件に関して請求をしない」という内容を含む条項です。この条項が含まれている場合、同じ不倫について二度目の慰謝料を請求することはできません。例えば、一度目の不倫が終わったときにこの条項を設けていた場合、後にその不倫関係が再開されても、その件に関する追加の慰謝料請求は原則として認められません。
清算条項を設けていたとしても、期間をおいて不倫関係が復活するケースがあります。このようなケースでは継続性がない、別の不倫として扱われる可能性があるため、慰謝料の請求が可能です。
別の人と不倫をしている場合
配偶者が別の相手と不倫をした場合でも、再度慰謝料請求は可能です。たとえ一度目の不倫とは異なる相手であっても、配偶者に対する精神的苦痛は新たに発生します。これにより、新たな不貞行為として法的に別個の不法行為と認定されるため、再度慰謝料を請求することができるのです。
繰り返しの不倫に対して慰謝料増額が可能?
繰り返しの不倫に対して慰謝料が増額されるケースもあります。例えば1回目と異なる相手と不倫関係にあった場合、不倫相手が複数人いることになります。複数人の不倫相手がいることは、不倫をされた側に与える精神的な影響は大きくなるでしょう。このような要素が考慮されて慰謝料が増額される可能性があります。
一方、同じ相手と繰り返し不倫をしている場合、不倫期間や肉体関係を持った回数という慰謝料を決定する要素が関係します。同じ相手と繰り返し不倫をしている場合、不倫期間、肉体関係ともに多くなるのが一般的です。そのため、慰謝料が増額される可能性があるでしょう。しかし先述のとおり、一度、清算条項付きの示談をしている場合、慰謝料は想定よりも下回る可能性があります。
二度目の不倫に対する慰謝料相場
一般的に一度目の不倫の慰謝料相場は50万円~300万円ほどです。二度目の不倫をした場合、一度目よりも高くなる可能性があるでしょう。そのため、300万円を超える慰謝料が認められるケースもあります。
不倫誓約書に違反すると違約金・慰謝料どちらも請求可能?
パートナーが不倫をした際、不倫誓約書を作成するケースがあります。不倫誓約書では、再度不倫をした場合に科すペナルティが定められているのが一般的です。しかし、パートナーによっては不倫誓約書にサインをしたにも関わらず、再び不倫をする人もいます。
ここでは不倫誓約書に違反した場合、違約金、慰謝料どちらも請求できるのかを解説します。
違約金・慰謝料をどちらも請求できるケース
不倫誓約書にサインをしているのにも関わらず不倫をしたケースであれば、違約金と慰謝料どちらも請求可能です。違約金と慰謝料は支払う理由がそれぞれ異なります。
- 違約金:合意内容を破ったときに発生する損害金
- 慰謝料:精神的苦痛に対する賠償金
違約金は慰謝料に含んで請求可能なものの、慰謝料を支払うことを理由に違約金の支払いを拒否できません。
違約金が認められないケース
違約金と慰謝料とは性質が異なるため、どちらも請求可能です。しかし、違約金が認められないケースもあります。過剰な違約金になってしまうと、公序良俗に反するとして一部の違約金が認められない可能性があります。
違約金は当事者同士が設定できるため、設定金額に限度はありません。違約金として認められない可能性を考慮すると、不倫慰謝料の相場程度にとどめておくのがよいでしょう。
違約金の支払いを拒否される可能性もある
不倫誓約書にサインをしたとしても、違約金の支払いを拒否される可能性もあります。不倫誓約書の違約金を拒否された場合、裁判所に強制執行の申し立てが必要です。
このような手間を防ぐのが公正証書としての誓約書作成です。公正証書であれば裁判所に申し立てせずに強制執行が可能です。万が一、違約金支払い拒否が発生した際に備えて不倫誓約書は公正証書として作成しましょう。
不倫誓約書を強制的にサインさせていたケース
不倫誓約書は、あくまで当事者が納得したうえでのサインが必要です。しかし、なかには不倫されたことの怒りに任せて、強制的にサインさせてしまうケースもあります。不倫誓約書に強制的にサインさせた場合、相手が誓約に違反したとしても違約金は認められません。それどころか強要罪に問われる恐れがあります。強要罪に問われると、3年以下の懲役が科せられる可能性があります。(※1)
(※1)e-GoV法令検索「刑法」第二百二十三条(強要)
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_32-At_223
繰り返しの不倫であっても慰謝料請求は証拠が必要
不倫の慰謝料を請求するには、不貞行為を証明するための証拠が必要です。証拠がなければ慰謝料請求が認められません。
不倫の証拠を手に入れるには、自分で証拠を集める方法と、探偵に調査依頼する方法の2つがあります。それぞれ詳しく説明します。
不倫の証拠を集める方法
不倫の証拠を集める方法として以下が挙げられます。
- 不貞行為が分かる写真や動画の収集
- 不貞行為が分かる会話の録音
- SNSやメッセージの履歴
- 領収書やクレジットカードの明細
しかし、いずれの方法も法律への抵触やプライバシー侵害について注意しなければなりません。そのため、不慣れな人が違法行為を避けて自力で不倫の証拠を集めるのは、想像以上に難しいといえるでしょう。
不貞行為が分かる写真や動画の収集
不貞行為(肉体関係)が分かる写真や動画は、不倫の証拠として強い効力を発揮します。不貞行為の判断は、直接的な写真や動画でなくとも問題ありません。パートナーと不倫相手がラブホテルに入室・退室している写真や動画であっても不貞行為の証拠として機能します。
ラブホテルに入室、退室している写真や動画を撮影する場合、パートナーと不倫相手を尾行する必要があります。しかし、尾行はストーカー規制法に抵触する行為です。相手にバレて通報された場合、次のような罰則が科せられる恐れがあります。(※2)
- ストーカー行為をした者:1年以下の懲役または100万円以下の罰金(第18条)
- 禁止命令等に違反してストーカー行為をした者:2年以下の懲役または200万円以下の罰金(第19条)
- 禁止命令等に違反した者:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金(第20条)
(※2)警視庁「ストーカー規制法」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/dv/kiseho.html
不貞行為が分かる会話の録音
不貞行為が分かる会話の録音も慰謝料請求のための証拠として機能します。しかし、無断で録音したものは証拠として認められない可能性があるでしょう。相手の了承を得たうえで不貞行為について録音するのは困難です。そのため、不倫の事実を問いただして、自白として録音するのが有効です。
SNSやメッセージの履歴
SNSやメッセージの履歴も不倫の証拠として機能します。しかし、すべてのSNSやメッセージの履歴が不倫の証拠になるわけではありません。あくまで不貞行為が推測できるような履歴が対象になります。食事に行ったことがわかる程度の一般的なメッセージのやり取りでは、不貞行為の証拠にはなり得ません。
不貞行為が分かるSNS、メッセージの履歴を探す際は、前後のやり取りも確認しましょう。一文だけ読むと不貞行為が疑われるケースであっても、前後のやり取りを含むと不貞行為とは認められない可能性があります。
領収書やクレジットカードの明細
ホテルの領収書、クレジットカードの明細も不倫の証拠になり得ます。しかし、不倫相手と一緒に行ったレストランの領収書、クレジットカード明細といったように、それだけで不貞行為を推認できないものは証拠としては扱われません。
ラブホテルや旅館などの領収書・クレジットカードの明細なら、不貞行為があったことを判断できるとして、証拠能力が認められるケースが多いでしょう。
ただし、不貞行為を捉えた写真や動画などよりは効力が弱くなります。ほかの証拠と併用して使用することで、証拠としての効力を高めましょう。
探偵への依頼も検討する
パートナーが不倫を繰り返している場合、証拠集めを探偵に依頼するのもおすすめです。探偵であれば個人よりも効率的に証拠を収集可能です。
探偵に不倫の調査を依頼する場合は、次のような点を意識しましょう。
- 可能な限り情報を共有する
- 依頼先の実績を確認する
- 調査終了後のフォローを確認する
可能な限り情報を共有する
パートナーの不倫調査を探偵に依頼する場合、可能な限り情報を共有しましょう。共有できる情報が少ないと探偵の調査にかかる時間が延びてしまい、調査費用がかさんでしまいます。一方、パートナーの不倫について詳細な情報を共有できれば、証拠集めがスムーズに進み、調査費用も抑えられます。
特に不倫を繰り返しているパートナーであれば、過去の不倫パターンを探偵に共有することで証拠集めに活用できる可能性があります。特に同じ相手と不倫をしているのであれば、不倫相手の情報をすぐに探偵に伝えられるでしょう。
依頼先の実績を確認する
探偵に不倫調査を依頼する場合、過去にどのような実績があるのかを確認するのもポイントです。ホームぺージや口コミサイトなどをチェックすることで、過去の実績を把握可能です。また、長いキャリアを誇る探偵であれば、一定の実績があると推測できます。
また、実績と同時に次の2つの確認も大切です。
- 行政処分の有無
- 探偵業の届出を済ませたことが分かる標識の有無
探偵によっては、違法な調査などを理由に行政処分を下されているケースがあります。行政処分を下されているかどうかは、各都道府県警察のホームぺージや公安委員会のホームぺージから確認できます。掲載期間は処分を受けてから3年間です。
一方、探偵業の届出済みである標識の掲示も義務付けられています。探偵のホームぺージに標識が掲示されているかを確認しましょう。
調査終了後のフォローを確認する
調査終了後のフォロー体制が整っている探偵もいます。このような探偵の場合、専門のカウンセラーや弁護士を紹介してくれます。パートナーに繰り返し不倫をされた場合、ストレスを強く感じる人もいるでしょう。そのため、専門のカウンセラーの存在は大きな助けになります。
また、不倫を繰り返した場合の慰謝料請求は複雑になるため、弁護士の紹介も大きなサポートになります。
調査終了後のフォロー体制に加えて、適切な調査報告書を提出してくれるかどうかも確認しておきましょう。パートナーと不倫相手との不貞行為が分かる写真や客観的な調査内容が記載されている調査報告書であれば、不倫の証拠として機能します。依頼前にサンプルを確認して、報告書の内容を把握しておきましょう。
不倫を繰り返すパートナーに慰謝料請求するなら証拠を集めよう
不倫を繰り返すパートナーへは慰謝料を請求できる可能性があります。特に別の不倫相手と不倫をしているのであれば、慰謝料を請求できるでしょう。一般的に不倫の慰謝料は精神的苦痛や不倫期間、回数などが考慮されます。不倫を繰り返している場合、精神的苦痛が多くなると判断され、相場よりも高くなる可能性があります。
パートナーが不倫を繰り返しているのであれば、探偵に依頼して慰謝料請求のための証拠を収集しましょう。探偵であれば個人よりもスムーズに慰謝料請求の証拠を集められます。
アイヴィ・サービスでは不倫を繰り返すパートナーの証拠収集に対応しています。パートナーの度重なる不倫にお悩みの方はぜひご相談ください。