夫婦関係がうまくいっていない場合、夫もしくは妻が離婚を切り出すことがあります。夫と妻とで離婚を切り出す原因の件数は異なるものの、性格の不一致や異性関係、浪費癖などが多くを占めています。
この記事では夫婦が離婚する原因ランキングや離婚する夫婦の特徴、裁判で離婚が認められるケースなどを解説します。
令和5年の離婚原因ランキング

裁判所は『令和5年 司法統計年報』で夫、妻それぞれからの離婚原因を公表しています。ここでは離婚原因を夫・妻別にランキングとして解説します。(※1)
夫からの離婚原因ランキング
令和5年の夫から申し立てられた離婚の件数は1万5,192件でした。このうち、夫が離婚を申し立てた原因は次のとおりです。
順位 | 原因 | 件数 |
---|---|---|
1 | 性格が合わない | 9,103件 |
2 | 異性関係 | 1,817件 |
3 | 浪費する | 1,748件 |
4 | 性的不調和 | 1,592件 |
5 | 暴力を振るう | 1,320件 |
6 | 病気 | 592件 |
7 | 酒を飲み過ぎる | 376件 |
夫から離婚を言い出したケースでは、「性格の不一致」が最多の9,103件と、半分以上を占めています。大きく離れて「異性関係」や「浪費する」が続きます。また、わずかではあるものの、病気を理由に離婚を言い出したケースもありました。
妻からの離婚原因ランキング
夫から離婚を切り出したケースに対して、妻から離婚を切り出したケースは4万1,652件でした。夫の倍以上もの件数です。
妻が離婚を申し立てた原因は次のとおりです。
順位 | 原因 | 件数 |
---|---|---|
1 | 性格が合わない | 1万5,835件 |
2 | 暴力を振るう | 7,711件 |
3 | 異性関係 | 5,362件 |
4 | 浪費する | 3,550件 |
5 | 性的不調和 | 2,642件 |
6 | 酒を飲み過ぎる | 2,394件 |
7 | 病気 | 672件 |
妻からの離婚申し立ても「性格が合わない」が最多でした。その後、「暴力を振るう」「異性関係」が続きます。夫からの原因の場合、暴力を振るうが5番目だったのに対して、妻からの原因では2位と差が表れています。
また、夫の原因では最少の376件だった飲酒(酒を飲み過ぎる)は、妻の場合、2,394件と8倍近く多い結果となっています。
離婚原因を詳しく解説
夫婦が離婚する原因は主に次のとおりです。
- 性格の不一致
- DV
- 金銭問題
- モラハラ
- 親族との関係
- 病気
- 家族を顧みない
- 浮気
それぞれの原因を詳しく解説します。
性格の不一致

結婚生活を続けるなかで、性格の不一致はよく聞く離婚原因のひとつです。互いの価値観や生活スタイル、趣味などが大きく異なっている場合、結婚当初は互いに理解し合う努力をするでしょう。しかし、時間が経つとその違いが耐えがたくなることがあります。その結果、日常的に衝突が絶えず、感情的な負担が大きくなってしまうでしょう。
性格の不一致が原因で離婚を決意する場合、どちらか一方が精神的に追い詰められてしまうケースが少なくありません。この場合、感情的な疲労が原因で夫婦関係が破綻し、最終的に離婚を選んでしまうことがあります。
DV
DVは、身体的または精神的に配偶者に暴力を振るう行為で、被害者の身体や精神を大きく傷つけます。DVは一度発生した時点で深刻な問題となり、持続的に暴力を受けることで、心身の健康に大きな影響を及ぼします。このような心身への影響は離婚原因として非常に重要な要素です。
配偶者が暴力を振るう場合、被害者は自分の安全を最優先に考え、別居や離婚を選択するのが一般的です。
金銭問題
お金の問題は夫婦間のトラブルを引き起こす大きな要因です。生活費や家庭の支出を巡る意見の食い違い、借金や浪費癖、収入の不安定さなどによって夫婦の間に溝が生じかねません。金銭問題を放置したまま夫婦生活を続けていくと、老後の資金にも影響が及んでしまいます。
モラハラ
モラハラは、精神的な虐待や支配的な態度によるハラスメントで、暴力こそ振るわなくても、言葉や態度で相手を支配したり、傷つけたりする行為です。モラハラが続くと、精神的に追い詰められ、自己評価が低くなるだけでなく、日常生活に支障をきたすことがあります。
夫婦間でのモラハラは、最初は軽い言葉で始まることもありますが、次第にエスカレートしていき、深刻な心理的被害を受けることがあります。モラハラによる精神的苦痛は非常に強く、被害者はその環境から逃れるために離婚を選ぶことがあります。
親族との関係

配偶者の親族との関係が悪化することも離婚原因となることがあります。義理の両親や兄弟姉妹との関係が悪化すると、配偶者間での摩擦が生じてしまうでしょう。例えば、義理の両親が過干渉であったり、介護や経済的な支援を巡る問題が発生したことで離婚を決意する人もいます。
病気
配偶者が重い病気を患っている場合、その介護や精神的な負担が離婚原因となることがあります。特に、長期間にわたる病気や治療が必要な場合、健康問題は夫婦関係に大きな負担をかけてしまうでしょう。
また、病気が原因で収入が減少しているケースや家事や育児の負担が増えるケースでは、片方のストレスが増大し、最終的に離婚に至ることがあります。
家族を顧みない
結婚生活において、配偶者が家族や子供を顧みない場合、離婚原因となりやすいです。結婚生活は協力やサポートが必要ですが、片方が家族に対して無関心であったり、支援を怠ったりすると、関係が悪化します。
このようにパートナーに対しての不満が積み重なり、最終的に離婚を選ぶ原因となることがあるでしょう。
浮気
浮気も離婚原因の代表例です。パートナーの浮気が発覚した場合、夫婦関係に重大な亀裂が入ります。浮気が原因で離婚に至る場合、精神的な痛みや裏切られたという気持ちが非常に大きく、修復が難しい傾向があります。
また、離婚の原因が浮気の場合、浮気をしたパートナーや浮気相手に対して慰謝料を請求するケースも多いでしょう。
離婚する夫婦の特徴
離婚をする夫婦には次のような特徴があります。
- 相手への尊重が足りない
- 過去のトラウマがある
- 親離れができていない
- 夫婦格差がある
- コミュニケーションが足りない
相手への尊重が足りない
夫婦間でお互いを尊重し合うことは、健全な関係を築くために欠かせません。お互いを尊重せず、軽んじる態度は、次第に関係を悪化させます。言葉や行動で相手を傷つけたり、無視することが続くと、相手の気持ちが冷めてしまい、離婚に至る可能性が高くなるでしょう。
過去のトラウマがある

過去のトラウマが夫婦関係に影響を与えることもあります。片方が過去の傷を抱えており、現在の関係に影響を及ぼしている可能性があるでしょう。
例えば、DV加害者は自身の過去のトラウマが関わっているケースがあります。加害者が幼少期に自身や母親が暴力を受けている環境で育っているのであれば、大人になってから無意識にその暴力的な態度を再現することがあるのです。自分自身が暴力を受けて育った経験が、加害者に「力で相手を支配する」という行為が正当化されている感覚を与え、暴力を繰り返してしまう場合があります。
このように、過去のトラウマを抱えている場合、問題が解決されない限り、関係は悪化します。
親離れができていない
結婚しても親との関係が強すぎる場合、夫婦関係に支障をきたすことがあります。配偶者が過度に親に依存し、親の意見を優先してしまうことが続くと、もう一方の配偶者が疎外感を感じ、関係がぎくしゃくしてしまうでしょう。親の過干渉によって、離婚を決意しかねません。
夫婦格差がある
経済的な格差や社会的地位の違いが原因で、夫婦間で不平等感が生じることがあります。一方が過度に高い地位にあり、もう一方がそれに追いつこうとするプレッシャーを感じると、不満がたまります。反対に、高い地位、収入のある側が相手に不満を抱くケースもあるでしょう。
どちらのケースであっても、格差が原因で精神的な負担がかかり、最終的に離婚に至ることがあります。
コミュニケーションが足りない
夫婦間でのコミュニケーション不足は、大きなトラブルを引き起こす要因です。お互いに何を考えているのか、どんなことに困っているのかを話し合わないままだと、誤解や不信が生まれます。問題が積み重なると関係の修復が困難になるため、夫婦関係を維持することが難しくなるでしょう。
裁判で認められる離婚原因とは
離婚は当事者同士で話し合う協議離婚から始めるのが一般的です。協議離婚で話がまとまらなかった場合、家庭裁判所による離婚調停、さらに離婚裁判に発展します。
裁判において離婚が認められる原因として以下が挙げられます。
- 配偶者が強度の精神病
- 配偶者からの悪意の遺棄
- 婚姻を継続し難い重大な事由がある
- 不貞行為
配偶者が強度の精神病

配偶者が重度の精神疾患を抱えており、治療が困難である場合、婚姻生活を継続することが現実的に不可能と判断されることがあります。そのため、精神疾患が原因で配偶者の行動や考え方に支障をきたし、婚姻生活を維持できない状況になった場合、裁判所は離婚を認める可能性があるでしょう。
特に、配偶者が精神病のために日常的に他者と適切にコミュニケーションを取ることができず、生活の共同義務を果たせない場合、離婚事由と認定されることが多いでしょう。
配偶者からの悪意の遺棄
配偶者からの悪意の遺棄とは、意図的に配偶者を無視し、家庭生活における共同の義務を果たさず、生活を一方的に放棄する行為です。例えば、長期間連絡を絶ち、家計の負担や家事育児を無視したまま生活することが該当します。このような場合、配偶者は悪意の遺棄によって婚姻関係を壊しており、その理由で離婚を申し立てることが可能となります。
特に、生活に必要な援助を一切行わず、帰宅もしないなどの状況が続いた場合、裁判所は離婚請求を認めることがあります。
婚姻を継続し難い重大な事由がある
婚姻を継続し難い重大な事由とは、夫婦関係の修復が不可能であると認められるような、深刻な状況がある場合が該当します。例えば、配偶者からのDV、度重なる不貞行為、あるいは一方の配偶者が長期にわたって家庭を顧みない態度を取ることなどが該当します。このような状況では、もはや夫婦としての信頼関係が崩れ、婚姻生活を継続することが困難になるため、裁判所は離婚を認めることがあります。
不貞行為
パートナーが不貞行為を行っているのであれば、相手に離婚を求める大きな理由になり得るでしょう。浮気や不倫が発覚すると、その信頼関係は破綻し、婚姻関係の継続が困難になります。民法第770条では、不貞行為が離婚事由として明記されており、配偶者が他の人と不倫をしていることが証明できれば、その理由で離婚を求めることができます。(※2)配偶者の不貞行為は、婚姻の基盤を揺るがす重大な問題であり、裁判所はこれを理由に離婚を認めることが一般的です。
裁判で離婚が認められないケースもある
裁判所に離婚を申し立てたとしても、認められないケースがあります。もしパートナーから離婚を言い出されたのであれば、離婚が認められないケースであるかどうかを確認しましょう。
離婚を切り出した側が有責配偶者である

離婚を切り出した側が有責配偶者であれば、原則として離婚は認められません。有責配偶者とは、離婚の原因がある側を指します。例えば、不倫をしたり、暴力を振るったりする行為があった場合、その配偶者は有責配偶者とされます。
有責配偶者が離婚を申し立てても、裁判所は離婚を認めないのが一般的です。有責配偶者は自分の行動によって関係が破綻した責任を負わなければならないためです。
例えば、不倫が原因で関係が破綻し、加害者側が離婚を申し立てた場合、被害者側は慰謝料の支払いを求めることが一般的です。そのため、有責配偶者によっては慰謝料支払いを逃れるために自らが離婚を申し立てることがあります。
裁判所はこのような事実を考慮したうえで離婚の可否を判断します。
有責配偶者認定は裁判所に申し立てできる
配偶者が不倫をしている、暴力を振るっている、または生活を共にすることが困難な状況を引き起こした場合、その証拠をもとに裁判所に有責配偶者の認定を求めることができます。
有責配偶者の認定が行われると、その配偶者に対して不利な条件が付されることになります。特に、不倫の場合、慰謝料や財産分与において有責配偶者が多くの責任を負うことになるため、その後の離婚手続きに大きな影響を与えることになります。
裁判所で有責配偶者を認定してもらうことで、離婚がスムーズに進むことが期待できるものの、確かな証拠や証言が必要です。証拠が不十分だと、裁判での主張が認められないことがあるため、証拠集めには十分な注意が必要です。
証拠収集は無理せず探偵に相談
パートナーが浮気している場合、有責配偶者と認めてもらうためには証拠収集が欠かせません。証拠は、効力のあるものをパートナーや浮気相手にバレずに集めることが大切です。効力のある証拠を集めても、収集がバレてしまうと関係の悪化につながりかねません。一方、パートナーにバレなかったとしても、効力が高くなければ浮気を証明できません。
そのため、高い専門性で証拠を収集できる探偵に調査を依頼するのがおすすめです。探偵が調査終了後に提出する調査報告書も浮気の証拠として機能します。調査報告書を証拠とするなら、事前に報告書のサンプルを確認させてもらうのがおすすめです。
無理に個人で証拠収集をするリスク
個人での証拠収集は難易度が高く、場合によっては法律に違反する恐れがあります。例えば浮気相手の素性を把握しようと自宅に無断で押しかける、つきまとうといった行為は、刑法やストーカー規制法に抵触しかねません。
違法な方法で収集した証拠は効力が認められません。探偵であれば法律を把握しているため、このようなリスクを回避できるでしょう。
証拠を集めて離婚を有利に進めよう
夫や妻が離婚を切り出す原因は性格の不一致や異性関係、浪費癖、DVなどです。特に夫、妻ともに最多となっているのが性格の不一致です。離婚する夫婦の特徴として、相手への尊重が足りない、過去のトラウマがある、親離れができていないなどが挙げられます。
離婚を有利に進めるためには、浮気の証拠を集めることが大切です。探偵であれば専門的な知識で証拠を収集してくれます。また、法律に抵触するリスクを抑えられます。
アイヴィ・サービスでは豊富な経験に基づき浮気の証拠を収集します。パートナーの浮気で悩んでいる方はぜひご相談ください。
(※1)裁判所「令和5年 司法統計年報」
(※2)e-Gov法令検索「民法」第七百七十条(裁判上の離婚)