不倫を始める年齢は20代~40代とは限りません。50代以降の熟年層であっても不倫をする可能性があります。熟年不倫を放置していると、離婚問題などのリスクにつながりかねません。そのため、パートナーが不倫をしている疑いがあれば、早めに証拠収集などを進めましょう。
この記事では熟年不倫をする理由や不倫を放置するリスク、慰謝料請求の時効を解説します。
熟年不倫をする理由

50代以上の熟年であっても不倫をしてしまう理由は主に次のとおりです。
- 自由に使えるお金が増える
- 夫や妻に満足していない
- 親の介護疲れ
- 若いころからの不倫の継続
自由に使えるお金が増える
不倫にはお金がかかるものの、熟年世代は、自由に使えるお金が増えるため負担にならない可能性があります。一般的に年齢が高くなるほど、収入は増加する傾向です。
国税庁『令和5年分民間給与実態統計調査』によれば、30~34歳の年間の平均給与は431万円だったのに対して、50歳~54歳は540万円と100万円以上の差がありました。同調査によれば、平均給与のピークは55歳~59歳の545万円です。(※1)
このことから分かるように、熟年になると給与の増加に伴って、自由に使えるお金が増えるでしょう。さらに、子育てが落ち着いた家庭であれば、養育費が減少することも要因です。
夫や妻に満足していない
結婚生活が長く続くことで、互いの関係がマンネリ化しているという熟年夫婦もいるでしょう。特に50代以上になると、体力や精神的なエネルギーの変化、仕事のストレスや家庭内のルーティーンをきっかけに、相手への愛情が薄らいでいく可能性があります。
パートナーに対しての不満を抱えたまま生活していると、ほかの異性に対して新たな魅力を感じかねません。とくに熟年になると、このまま終わりたくないという不安が不倫を引き起こすことがあります。
親の介護疲れ
熟年になると親の介護問題が精神的な負担となることがあります。厚生労働省の発表では、要介護者と同居している人のうち、40代から介護をしている人が7.1%なのに対して、50代から介護している人は19.6%に増加しています。(※2)
このように、50代以降は親の介護による疲労やストレスが発生しかねません。介護のストレスや精神的な負担を解消するために、外の世界に癒しや安心感を求める人もいるでしょう。
若いころからの不倫の継続
若いころに不倫をしていた人が、年齢を重ねてからも不倫を続けるケースもあるでしょう。結婚当初から浮気癖があった場合、年齢が進んでもその傾向はなかなか治らないことがあります。また、若いころに不倫を経験したことで、不倫の楽しさを忘れられず、熟年層になっても繰り返してしまうというパターンも見受けられます。

熟年不倫の特徴
熟年不倫は次のような特徴を持っています。
- 不倫相手との関係が長期化する
- 不倫に使うお金が多くなる
- 精神的な結びつきが強くなる
不倫相手との関係長期化によって、時間の経過に伴い相手への思いが強くなりかねません。
不倫相手との関係が長期化する
熟年不倫の大きな特徴は、不倫相手との関係が長期にわたって続くことが多い点です。若いころの一時的な衝動的な不倫とは異なり、熟年不倫は計画的で長期的なものになりやすい傾向があります。
パートナーと不倫相手の関係長期化は、不倫されている側からすると辛いことです。しかし、不倫が長期化している場合、相場よりも高額な慰謝料を請求できる可能性があります。
不倫に使うお金が多くなる

先述のとおり、熟年層は収入が多くなるため、不倫に使うお金も多くなる傾向にあります。不倫に使うお金が多くなると、家計に影響を及ぼしかねません。なかには退職金を使い込んでしまう人もいるほどです。
例えば、夫が不倫している場合、不倫相手とのデートや宿泊代に退職金を使ってしまう可能性があるでしょう。退職金を使い込まれてしまうと、老後の生活に支障が生じます。

精神的な結びつきが強くなる
熟年不倫は関係が長期化する傾向にあるため、精神的な結びつきが強くなります。精神的な依存が強まると、実際の家庭生活よりも不倫相手との時間を重視するようになり、家庭内の問題が深刻化しかねません。さらに、離婚を切り出される恐れすらあります。
夫や妻の熟年不倫を放置するリスク
夫や妻の熟年不倫を放置すると次のようなリスクにつながります。
- 離婚のリスクが高まる
- 財産分与で揉める
離婚のリスクが高まる

熟年不倫を放置した場合の最たるリスクが離婚です。不倫が長期化すると、夫婦間の信頼関係が完全に崩れてしまうことがあります。信頼を回復するためには、双方の協力と努力が必要ですが、互いに感情的になってしまい離婚に至るケースがあるでしょう。
なお、不倫をしている側から申し出た離婚は、一般的に認められることはありません。これは不倫をしている側が有責配偶者であるからです。
有責配偶者とは離婚の原因を作った側の配偶者を指します。例えば不倫をしていた、暴力を振るっていたといった場合、有責配偶者として扱われます。有責配偶者は原因を作った側であるため、原則として離婚の申し出が認められることはありません。
しかし、有責配偶者であることを証明するためには、不倫(不貞行為)の証拠を押さえる必要があります。
パートナーが有責配偶者であることを示す証拠
パートナーが有責配偶者であることを示す証拠は主に次のとおりです。
- パートナーと不倫相手がラブホテルに入室・退室する写真や動画
- 肉体関係を捉えた写真や動画
- 不倫を本人が認めた書類や音声
- 探偵による浮気調査報告書
肉体関係を捉えた写真や動画の撮影、さらには不倫を自白する書類や音声の入手は困難でしょう。そのため、一般的にはパートナーと不倫相手がラブホテルに入室していく入室が証拠として扱われます。
パートナーの不倫の証拠を入手しておけば、慰謝料請求も有効に進められるでしょう。
財産分与で揉める
不倫が発覚すると、財産分与に関しても揉めることがあります。とくに熟年夫婦の場合、長年共に築き上げてきた財産が多いため、離婚時の財産分与が大きな問題となります。基本的に財産分与は2分の1になるため、半分は分与しなければなりません。
熟年不倫で離婚しないためのポイント
熟年不倫で離婚しないためには次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 夫婦のコミュニケーションを増やす
- 子供について考える
夫婦のコミュニケーションを増やす

熟年不倫を防ぐためには、夫婦間のコミュニケーションが欠かせません。長年の結婚生活の中で、お互いに話すことが少なくなり、感情の交流が減少することがあります。定期的にお互いの気持ちや悩みを共有する時間を持つことで、互いに理解を深め、関係改善につながるでしょう。
また、共通の趣味を持つことや、一緒に出かけることも関係を強化する方法の一つです。パートナーと過ごす時間を大切にし、二人で新たな思い出を作ることで、不倫に対する誘惑を減らすことができるでしょう。
介護で忙しいのであればサポートも検討する
夫婦でコミュニケーションを図ろうとしても、親の介護で忙しいという人もいるでしょう。介護で忙しい、ストレスを感じているという場合はデイケアをはじめとして、地域のサポートを活用するのが大切です。
子供について考える
熟年不倫をした場合、とくに子供について考えることが重要です。子供たちが成人している場合でも、家庭の問題が子供に与える影響を無視することはできません。子供との関係を大切にし、家族全体の幸せを考えることで、離婚という選択肢を取らずに済む場合があります。
熟年層にとって、子供の存在は大きな支えとなります。家族のために努力することが、最終的に家庭を守るための鍵となるでしょう。

熟年不倫による離婚で関わるお金

パートナーの熟年不倫によって、万が一離婚するのであれば、次のようなお金について把握しておきましょう。
- 慰謝料
- 財産分与
- 年金分与
- 婚姻費用
慰謝料
熟年不倫による離婚で発生した慰謝料は、不倫相手や不倫をしたパートナーに対して請求できます。
不倫に対する慰謝料は一律ではありません。不倫期間の長さや不倫によってどれだけの心的ストレスが発生したかを考慮して変動します。
一般的に熟年不倫は、次のような条件から慰謝料が高くなると考えられています。
- 婚姻期間が長いため
- 年齢に伴い社会的地位も高くなるため
婚姻期間が長いため
熟年不倫によって離婚する場合、多くは長い期間夫婦生活を続けてきたカップルでしょう。離婚の慰謝料は婚姻期間が関係します。婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料は高くなるのが一般的です。
さらに、パートナーが不倫相手と若いときから不倫関係にあるのであれば、より慰謝料は高くなるでしょう。
年齢に伴い社会的地位も高くなるため
不倫の慰謝料は、支払う側の社会的地位や収入も関係します。社会的地位、収入が高い場合、認められる慰謝料が高くなるのが一般的です。
熟年層は社会的地位、収入が高くなる傾向にあるため、慰謝料は高くなる可能性があるでしょう。
財産分与
財産分与とは、夫婦で築き上げた財産を分与することです。財産分与は名義を問わず、夫婦で一緒に購入した不動産や家具、自動車、保険返戻金などを指します。財産分与は半分ずつ分けるケースもあるため、夫婦間でトラブルに発展しかねません。
年金分与
年金分与は、離婚後に夫もしくは妻の年金の一部を分割して、パートナーが受け取れる制度です。相手より収入が低いケースや専業主婦は年金分割をすることで、将来受け取れる年金が増えます。
なお、年金分割制度の対象は厚生年金と共済年金のみで、国民年金や厚生年金基金、国民年金基金などは対象外です。
婚姻費用
婚姻費用は婚姻関係にある夫婦が分担する生活費を指します。婚姻費用は次のようなものが含まれます。
- 住居費
- 食費
- 光熱費
- 養育費
- 医療費
- 必要と判断できる交際費・娯楽費
たとえ別居をしたとしても、離婚をしていない以上夫婦であるため、経済力のある方が婚姻費用を支払う必要があります。しかし、パートナーの不倫を証明できれば相手が有責配偶者になるため、婚姻費用の支払いは不要になるのが一般的です。
なお、相手に離婚を切り出されたからと無断で別居をすると、有責配偶者として扱われる可能性があるので注意しましょう。
熟年不倫の慰謝料は時効に注意

熟年不倫で離婚する場合、慰謝料を請求できるものの時効に注意が必要です。不倫による慰謝料請求には、次のとおり2つの時効のパターンがあります。
- 時効が3年のパターン
- 時効が20年のパターン
それぞれの違いについて解説します。
時効が3年のパターン
不倫の慰謝料請求の時効は原則として3年です。パートナーが不倫している事実、不倫相手が誰かが分かってから3年以上経過すると慰謝料を請求できません。パートナーが不倫している事実だけを把握していても、相手の素性が分からないのであれば、時効は発生しない可能性が高いでしょう。
時効が20年のパターン
パートナーの不倫の事実や不倫相手が分からないままの場合であっても、慰謝料の時効は発生します。不倫から20年が経過しているのであれば、慰謝料は時効を迎えてしまいます。
熟年不倫の場合、関係が長期にわたることもあるため、気付いたら時効を迎えているという恐れもあるでしょう。そのため、早めにパートナーの不倫の証拠を収集して、慰謝料請求のための準備を進めましょう。
熟年不倫の理由を把握して適切に対応しよう
自由に使えるお金が増える、夫や妻に満足していないなどの理由から、50歳以上の熟年であってもパートナー以外の異性と不倫してしまうことがあります。
熟年不倫は精神的な結びつきが強くなるため、不倫したパートナーから離婚を言い出される可能性があるでしょう。不倫をした側からの離婚を認めないためには証拠を集める必要があります。
アイヴィ・サービスでは熟年不倫をはじめ、さまざまな不倫の証拠収集に対応しています。
パートナーの熟年不倫で悩んでいる方はぜひご相談ください。
(※1)国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2023/pdf/R05_001.pdf
(※2)厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf