美人局の手口は?被害にあった際の対処法も解説

美人局の手口は?被害にあった際の対処法も解説
証拠収集調査

現代はSNSやインターネットを通じて簡単に異性と出会えるようになっています。しかし、出会った異性が理想的とは限りません。なかには美人局として金銭を要求されるケースもあります。美人局の被害にあった場合、証拠を収集しているかどうかがポイントです。

本記事では美人局の手口や被害にあった際の対処法、証拠の収集方法などを解説します。

目次

美人局とは?

美人局とは?

美人局とは、男性が見知らぬ女性に巧妙に誘惑され、その後金銭的な要求を受ける犯罪のひとつです。美人局は夫婦関係にある男女が被害者を騙すのが一般的です。しかし、なかには夫婦関係にない男女が騙すこともあります。愛人関係にある男女が犯行に及ぶこともあれば、まったく愛人関係にない男女が犯行に及ぶこともあります。

一般的に美人局は被害者と女性とが肉体関係を持ち、その後に金銭を要求します。ただし、なかには肉体関係を持とうとしたと言いがかりをつけて金銭を脅し取ろうとするケースもあるでしょう。

女性も被害に遭いかねない

従来、美人局の被害者は男性でした。しかし、昨今は女性をターゲットにした「逆美人局」も発生しています。

例えば、婚活サイトで知り合って交際をした男性が既婚者だったというケースがあります。出会った男性が既婚者である場合、不倫相手として慰謝料を請求されかねません。実際に肉体関係を持っていなくても、慰謝料を請求すると脅されることもあります。

依然として男性が被害に遭う美人局が一般的なものの、女性だからといって油断しないことが大切です。

ハニートラップとの違い

美人局とよく混同されがちなものに、ハニートラップがあります。しかし、両者は本質的に異なるものです。ハニートラップは主に、情報を引き出すために女性を使って男性を罠にかけることが多いです。これに対して美人局は、金銭的な利益を得ることを目的としています。言い換えれば、ハニートラップはスパイ活動や情報収集に重点を置き、ターゲットが情報を提供することで成り立つのに対し、美人局は物理的・精神的な圧力をかけて金銭を奪う詐欺行為です。

ハニートラップはスパイ活動や情報収集のための手段ですが、過去には誘拐が計画されたこともあります。例えば2021年にはイスラエル公安庁が、イランの情報機関がイスラエル人ビジネスマンをターゲットにハニートラップで誘拐を企てていると警告した事例があります。(※1

美人局の3つの手口

美人局の被害に遭ってしまう場合、次のような手口が一般的です。

  • 出会い系サイトやマッチングアプリで知り合う
  • 飲み屋で知り合う
  • 未成年を使って誘い出す

出会い系サイトやマッチングアプリで知り合う

出会い系サイトやマッチングアプリで知り合った女性が美人局だったというケースがあります。

昨今、出会い系サイトやマッチングアプリの利用者は多く、消費者庁『マッチングアプリの動向整理』によれば、オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は2018年に386億円だったものの、2026年には1,657億円にまで達すると予測されるほどです。(※2

このように、出会い系サイトやマッチングアプリは市場規模が大きく利用者が多いため、詐欺師(美人局)がターゲットを探しやすい傾向にあります。出会い系・マッチングアプリで最も多いのは、出会い目的でターゲットに近づき、実際に会ったときに難癖をつけて金銭を要求してくるパターンです。

最初は自然な流れで会話が進んでいき、詐欺師に対する警戒心が解けていきます。その結果、ターゲットは安心して詐欺師と会いに行ってしまいます。ところが、いざ会って肉体関係を持つと、配偶者や恋人と名乗る仲間が出てきて言いがかりをつけ、金銭を要求してきます。場合によっては不同意による性被害だと訴えてくることもあるため、ターゲットは要求通りに金銭を支払ってしまうのです。

金銭の要求はその場限りで済まないこともあります。最初は軽い支払い要求であっても、次第に要求がエスカレートし、最終的には高額な金銭を支払うようターゲットを追い込みます

飲み屋で知り合う

飲み屋で知り合う

飲み屋やクラブなど、夜の街で知り合うのも美人局の一般的な手口です。詐欺師はバーやキャバクラなどでターゲットとなる男性に近づき、最初は気軽な会話から関係を深めます。この手法は飲み屋でのリラックスした雰囲気に乗じて、ターゲットの警戒心を薄くしてしまうという特徴があります。最初は良い雰囲気で会話が弾み、男性は女性に対して心を開きやすくなるでしょう。

その後、ターゲットと肉体関係を持った後にさまざまな理由をつけて金銭を要求してきます。

未成年を使って誘い出す

未成年を使って誘い出すという美人局の手口もあります。未成年に対して淫らな行為やわいせつな行為をした場合、淫行条例(青少年健全育成条例)に基づき罰せられる可能性があります。さらに、淫行条例に違反した場合、マスコミによる報道や職場の解雇などの社会的制裁を受け、今後の生活に大きな支障をきたすでしょう。

美人局は淫行条例に違反したことの口止め料を理由にターゲットを脅し、金銭を要求します。実際に未成年を使って誘い出すケースもあれば、女性が未成年と偽り被害者を誘い出すケースもあるでしょう。

その場は口止め料を支払うだけで済んだとしても、自分をだました詐欺師が歩道や逮捕された際、詐欺師の持つリストから自分の淫行条例違反が発覚する可能性があります。その代償はあまりにも大きいため、出会い系やマッチングアプリで未成年を自称する相手とは会うことは絶対にやめましょう。

美人局の5つの特徴

美人局は出会い系サイトやマッチングアプリ、飲み屋などで出会う可能性があります。しかし、初めて会った時点では、相手が美人局であるかどうかの判断は困難でしょう。そのため、美人局の特徴を把握して被害に遭わないことが大切です。

美人局の特徴として以下が挙げられます。

  • 連絡先交換がスムーズ
  • 初めて会うのに自宅に招く
  • 彼氏やパートナーの愚痴を言う
  • 女性がお金を負担すると言う
  • 避妊具を拒否する

連絡先交換がスムーズ

連絡先交換がスムーズ

最初から連絡先を交換したがる女性には警戒が必要です。美人局はできるだけ早い段階でターゲットに連絡先を渡し、信頼感を築こうとします。一方、一般人は、すぐに連絡先を交換することは少ない傾向にあります。

そのため、相手がすぐに連絡先交換を要求してきても安易に交換してはいけません。

初めて会うのに自宅に招く

初対面で信頼関係を築けていない相手を自宅に招くのは、多くの人が抵抗ある行為です。しかし、美人局の場合、初めて会ったにも関わらず自宅に招き入れようとします。例えば「今日は家族がいない」などの理由をつけて、ターゲットを誘い込みます。

誘いを真に受けて自宅に行ってしまうと、その後、美人局から言いがかりをつけられ金銭を要求されかねません

彼氏やパートナーの愚痴を言う

彼氏やパートナーがいるという女性から声をかけられることもあります。このような女性のなかでも、彼氏やパートナーの愚痴をしきりと言うようであれば、美人局の可能性があるでしょう。特に彼氏やパートナーのDVに悩んでいると打ち明けておけば、男性が現れた際にターゲットが暴力を避けるためにすぐに金銭を支払う可能性が高まります。

なお、美人局でなくとも、既婚者と肉体関係になってしまうと、相手のパートナーから慰謝料を請求されかねないので注意しましょう。

女性がお金を負担すると言う

女性がお金を負担すると言う

出会い系サイトやマッチングアプリで出会った女性と肉体関係を持とうとした場合、女性側から金銭の要求や食事・ホテルの負担などを要求されるケースがあります。しかし、なかにはホテル代などのお金の負担を自分から提案してくる女性もいます。

このような女性の場合、お金をかけずに関係を持てる好条件でターゲットを誘い出し、金銭を奪い取る美人局の可能性があります

男性側に都合の良い条件で積極的に会おうとする女性の誘いにはくれぐれも注意しましょう。

避妊具を拒否する

美人局は肉体関係を持とうとすると避妊具を拒否してくるケースがあります。避妊具を付けなかった場合、妊娠の可能性や性病感染の可能性が考えられます。そのため、多くの人が初めて会った相手に対して避妊具を付けないという選択はしないでしょう。

しかし、美人局は避妊具を付けずに関係を持ち、妊娠したと言って金銭を脅し取ろうとします。なかには捏造したエコー写真を見せて妊娠を主張する美人局もいるほどです。

美人局の被害にあった場合の対応

美人局の被害にあった場合の対応

万が一、美人局の被害に遭ってしまった場合、次のような対応を取りましょう。

  • その場から立ち去る
  • 警察に被害を報告する

しかし、その場から立ち去ろうとすると犯人が危害を加えかねません。無理に立ち去るのは避けましょう。

その場から立ち去る

美人局の被害に遭ってしまったら、すぐにその場から立ち去ることが大切です。その場に残るとさまざまな方法で脅迫されかねません。そのため、安全を確認したうえで立ち去りましょう。

立ち去る際は無理な行動を取らないことが重要です。過去には美人局の脅迫から逃げようとした結果、転落死してしまった被害者もいます。

なお、その場から立ち去ったとしても、電話番号やメールアドレス、SNSアカウントなどがバレている場合、美人局からしきりに脅迫の連絡が来る可能性が高いでしょう。しかし、これらの連絡に対応する必要はありません。あまりに頻繁に連絡が来るのであれば脅迫で警察に被害届を出すことを伝えましょう

警察に被害を報告するよう

美人局から逃げたら警察に被害を報告します。もし、その場から逃れられずお金を支払ってしまった場合であっても警察に被害を報告しましょう。被害を報告することで捜査を進めてくれる可能性があります。

注意すべきなのが、金銭を要求された側も罪に問われるケースです。例えば売春防止法違反や未成年者が相手だった場合、不同意性交等罪や児童買春とみなされかねません。

なお、美人局によって成立する可能性がある罪は主に次のとおりです。

  • 恐喝罪
  • 暴行・傷害罪
  • 詐欺罪
  • 強盗罪

恐喝罪

美人局によって脅され金銭を渡した場合、相手を恐喝罪に問えます。例えば相手から「彼女(妻)に手を出したから、金を支払え」と言われた場合、恐喝罪が成立し得ます。恐喝罪が認められた場合、犯人たちには10年以下の懲役が科せられます。(※3)[1]

一方、金銭を要求されず、ただ脅されただけの場合、脅迫罪もしくは恐喝未遂を問えることがあります。

暴行・傷害罪

美人局の男女から暴行を受けたのであれば、相手を暴行罪もしくは傷害罪に問えます。暴行罪、傷害罪の違いは実際に傷害の被害が発生しているかどうかです。例えば胸ぐらを掴まれた程度であれば、暴行罪として扱われるでしょう。一方、殴られているのであれば、傷害罪に問える可能性があります。

暴行罪は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、傷害罪は15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。(※3)[2]

詐欺罪

美人局の被害にあった場合、相手を詐欺罪に問えることもあります。例えば未成年と偽って被害者から金銭を要求したのであれば、詐欺罪が成立する可能性があるでしょう。

しかし、被害者が相手を未成年と認識していたかどうかがポイントです。被害者が相手を未成年と認識していたのであれば、詐欺罪を問えます。詐欺罪の罰則は10年以下の懲役です。(※3)[3]

強盗罪

美人局の被害にあった際、被害者が支払いを拒んでも、暴力などによって財布や金銭を強奪されるケースがあります。このようなケースでは強盗罪が成立する可能性が高いでしょう。恐喝も金銭を取られてしまうものの、被害者が脅しに屈して自ら支払っている点が強盗罪と異なります。

強盗罪の罰則は厳しく、罪が認められた場合、加害者には5年以上の有期懲役刑が科せられます。(※3)[4]

美人局は証拠も集めておく

美人局の被害にあった場合、証拠も集めておきましょう。集めた証拠を警察に提出すれば、スムーズな調査につながります。

美人局の証拠を集める方法は次のとおりです。

  • 自分で証拠を集める
  • 探偵に相談する

自分で証拠を集める

自分で証拠を集める

美人局の証拠は自分で集めることが可能です。例えば暴行された様子の録画脅迫の音源・メッセージは、美人局の証拠として機能します。

しかし、詐欺の証拠を集めるのは困難です。例えば加害者である男性から「お前が妻と関わったせいで夫婦関係が悪化した。慰謝料を請求する」と言われた場合、詐欺と断定する証拠を集めるのは難しいでしょう。また、成人しているにも関わらず未成年と言い張り金銭を請求するケースでも、本当に成人かどうかを見極めるのは困難です。

探偵に相談する

詐欺のように証拠収集が難しいのであれば、探偵に証拠収集を相談してみましょう。探偵は浮気調査や人探しだけを請け負っているだけではありません。美人局をはじめとした、さまざまなトラブルの証拠収集にも対応しています。探偵はインターネット調査や聞き込み、尾行など専門的な技術を用いて依頼者のために証拠収集してくれます。

探偵に相談する場合、依頼先が美人局の証拠収集に強いかどうか確認してみましょう。探偵によっては浮気調査や人探しのみに対応しているケースがあります。自分でなく、探偵に証拠収集を依頼するメリットは次のとおりです。

  • 自分が危険な目に合うリスクがない
  • 調査後に専門家につないでもらえる

自分が危険な目に合うリスクがない

探偵に証拠収集を依頼するメリットのひとつが、自分が危険な目に合うリスクがないという点です。美人局はさまざまな法律に抵触する犯罪です。このような犯罪行為をしている相手から証拠を集めようとするのは、危険と隣り合わせです。証拠集めがバレた場合、暴力を振るわれる可能性もあるでしょう。

バレるリスクが少ない

詐欺師による美人局の手口は年々巧妙化しており、確たる証拠を集めるためには踏み込んだ行動が必要です。しかし、相手にバレずに聞き込みや尾行を行うのは想像以上に難しいものです。ましてや相手が詐欺師となると、警戒心の強さから、こちらの行動がバレてしまうリスクも高いでしょう。

美人局の加害者たちに証拠収集がバレてしまうと、暴力を振るわれるだけでなく、証拠隠滅を図られる可能性もあります。無理をせず、調査のプロである探偵に任せた方がリスクを回避しながら高確率で証拠を集めることができるでしょう。

調査後に専門家につないでもらえる

探偵によっては調査終了後に専門家を紹介してくれるケースがあります。美人局被害の解決において、弁護士は心強い存在です。探偵から弁護士を紹介してもらえれば、裁判をはじめさまざまな疑問をサポートしてもらえます。

美人局の被害にあったら証拠を収集しよう

美人局とは男性が見知らぬ女性に巧妙に誘惑されて、金銭を要求される犯罪です。出会い系サイトやマッチングアプリ、飲み屋などで出会った相手が美人局であったというケースがあります。

美人局の被害に遭ってしまったら証拠を集めて警察に相談しましょう。美人局の証拠は自力で集めるよりも探偵に依頼するのがおすすめです。探偵であれば自らがリスクを負う心配がありません。

アイヴィ・サービスでは美人局をはじめとした、さまざまなトラブルの証拠収集に対応しています。証拠収集が困難で泣き寝入りを考えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

(※1)読売新聞オンライン「色仕掛けでビジネスマンを誘拐画策…イスラエル、イランの手口に警戒呼び掛ける」

https://www.yomiuri.co.jp/world/20210413-OYT1T50242

(※3)e-Gov法令検索「刑法」 第二百八条(暴行)[1], 第二百四条(傷害)[2], 第二百四十六条(詐欺)[3], 第二百三十六条(強盗)[4]

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045

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