駐車場に停めていた車がイタズラされてしまうことがあります。例えば石のように鋭利なものなどで傷をつけられている、硬いもので車体を叩かれ凹んでいるといったイタズラをされる可能性があるでしょう。
イタズラをされてしまう理由は自身に恨みを抱く人がいる、過去にトラブルになった相手がいるなどです。どのような理由であっても車へのイタズラは犯罪行為に該当します。早めに証拠を集めて犯人特定につなげましょう。
この記事では車にイタズラされた場合の対応や防止法、証拠収集方法などを解説します。
車イタズラが発覚したら警察に被害届を提出

車へのイタズラ行為は、場合によっては器物損壊罪に該当し、刑事事件として取り扱われる可能性があります。もし車へのイタズラが発覚したら、警察に相談し、被害届を提出しましょう。「たかがイタズラだから」と犯人を特定しないまま放置をすると、同じ手口で何度も被害を受ける可能性があります。それどころか、更なる犯罪行為に発展するリスクもあるため、安易に見過ごすのは危険です。
警察に被害届を出すことで事件としての記録が残り、捜査が進むきっかけとなります。
被害届を提出する際は、現場の写真や防犯カメラの映像など客観的な証拠をできるだけ用意しておくことが大切です。特に車の傷の状態や破損箇所の写真を撮っておくことは非常に重要です。被害状況を正確に伝えられれば、警察も具体的な捜査を行いやすくなります。
傷や契約内容によっては自動車保険を使える
車のイタズラ被害において気になるのは修理費用です。ガリ傷や塗装面の削れ、ガラスの破損、タイヤのパンクなど、傷の状態によっては数万円~数十万円の出費となることも珍しくありません。このような金銭的負担を少しでも軽減するためには、自動車保険(車両保険)を利用できるかどうか、契約内容を確認してみましょう。
イタズラや当て逃げによる損害がカバーされるプランに加入していれば、修理費用の一部、もしくは全額を保険でまかなえる可能性があります。一方で等級ダウンや免責金額などの設定もあるため、実際に保険金を請求した場合の負担額や、翌年度の保険料の上昇を考慮する必要があります。どの程度の損害に対して保険を使うべきか、保険会社や代理店と相談して冷静に判断しましょう。
車へのイタズラを防止する方法
車へのイタズラを防止するのであれば次のような方法を選択しましょう。
- 人感センサーのライトをつける
- 監視カメラを設置する
- 車用の防犯ブザーを設置する
人感センサーのライトをつける
自宅の駐車場やガレージに車を停めている場合は、人感センサー付きのライトを設置することで不審者の接近を抑止できます。ライトが急に点灯すると、イタズラの犯人は目立つのを恐れて逃げ出しやすくなります。センサーライトは電池式やソーラー式など、電源の確保が簡単な商品もあり、設置場所を選ばず導入できるのがメリットです。
駐車場周辺が暗いと、犯行に及びやすい状況を作り出してしまいます。夜間、明るい環境を保つことで近隣住民の目にも留まりやすくなり、イタズラ行為をする人が寄りつきにくい環境を作れるでしょう。
監視カメラを設置する

自宅駐車場や敷地内に監視カメラを設置することも有効です。最近では比較的手頃な価格で、映像を鮮明に記録できるカメラが多く販売されています。録画機能だけでなく、Wi-Fiを通じてスマートフォンでリアルタイムに映像を確認できるタイプも購入可能です。監視カメラが設置されていること自体が犯罪の抑止力となり、イタズラ目的の犯人が近づきにくくなる効果が期待できます。
ただし、カメラを設置していても稼働していなかったり、死角が多すぎたりすると十分な防犯効果は得られません。取り付ける場所やカメラの向き・画角など、専門的な知識を要する部分は、セキュリティの専門業者に相談すると的確なアドバイスを得られます。
車用の防犯ブザーを設置する
車用の防犯装置として、振動や衝撃を感知して大音量のアラームを発する防犯ブザーがあります。窓ガラスの破損やドアの無理なこじ開けを感知すると警報が鳴り響き、不審者を威嚇するとともに、周囲に異常事態を知らせてくれます。
防犯ブザーの注意点として、防犯装置の感度を高く設定しすぎると、強風や雷など、車に触れていない状況でも誤作動するケースが挙げられます。誤報が続くと周囲の住民に迷惑をかけるだけでなく、いざという時に「また誤報だろう」と思われてしまう可能性があるため、感度の調節や定期的なメンテナンスが必要です。
車にカバーをかぶせる
屋外に車を停める場合、カバーをかぶせるだけでボディへの傷や塗装面への落書きなどを多少防げることがあります。カバーをかぶせた状態だとイタズラ行為自体のハードルが上がり、犯行の抑止効果が期待できるでしょう。
また、車の外観が見えないため、「どんな車種なのかわからない」「高級車なのかもしれない」と犯人が余計なリスクを感じて手を出しにくくなることもあります。ただし、車カバーを日常的に着脱する手間はかかるので、効果と手間のバランスを考慮して、導入するかどうかを検討すると良いでしょう。
車にイタズラした犯人を特定する方法
車にイタズラされた場合、次のような方法で犯人を特定可能です。
- 防犯カメラの映像を確認する
- 恨みを抱いているであろう人物を洗い出す
- 張り込んで現場を押さえる
- 車にドラレコを取り付ける
防犯カメラの映像を確認する
まず試すべきは、自宅や近隣に設置されている防犯カメラの映像をチェックすることです。先述のように、自宅駐車場にカメラを設置していれば、明確な証拠となり得ます。また、近くの店舗や公共施設、マンション共用部のカメラ映像を管理者の許可のもと確認できる場合もあるでしょう。
車が停めてある場所から犯人の行動経路をたどっていくことで、時間帯や服装、車両などの手掛かりを得られるかもしれません。ただし、プライバシーの問題や管理者側の都合によって映像提供が断られる場合もあるため、やり取りを丁寧に進める必要があります。
恨みを抱いているであろう人物を洗い出す

車へのイタズラは、単にランダムな愉快犯による行為の場合もありますが、過去のトラブルや人間関係のもつれから恨みによる犯行として行われるケースも少なくありません。例えば、職場や近所で口論になった相手、家族や友人との金銭問題を抱えている相手、近隣トラブルがあった相手などを思い浮かべてみると、犯人がピンとくることがあるかもしれません。
人物を洗い出したからといって、犯人だと決めつけて直接問い詰めたりするのは非常に危険です。逆上を招いたり、新たなトラブルに発展する恐れがありますので、まずは冷静に情報を整理し、客観的な証拠を集めることが先決となります。

張り込んで現場を押さえる
車へのイタズラが繰り返されている場合、次に犯行が行われるタイミングを推測し、現場で張り込みをして直接犯行の瞬間を押さえる手段も考えられます。この方法は簡単ではありませんが、成功すれば決定的な現場証拠を確保できます。
ただし、夜間の張り込みは危険が伴いますし、犯人と直接対峙するリスクが高まってしまうでしょう。また、無闇に尾行や張り込みを行うと逆に自身が不審者とみなされかねません。実際、ストーカー規制法では他人を見張る、尾行するといった行動は規制対象になっています。ストーカー規制法に抵触してしまうと、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
車にドラレコを取り付ける
近年はドライブレコーダー(ドラレコ)の普及率が高まっています。国土交通省の調査によれば2020年の時点で、ドラレコの搭載率は53.8%と半数以上です。(※1)
なかでも、駐車監視機能がついているドラレコを車に装備することで防犯カメラの代わりにもなります。駐車中に車へ衝撃が加わった際、自動的に撮影が開始されるタイプも多く、犯人が車に近づいた様子を映像で記録できる可能性があるでしょう。
ただし、ドラレコの駐車監視機能は、バッテリーへの負担や記録容量の問題なども考慮しなければなりません。専門業者やカー用品店などで取り付けや設定を相談するのがポイントです。
車にイタズラされたら器物損壊で訴えられる

車にイタズラされた場合、器物損壊で相手を訴えられます。刑法第261条では、他人の物を損壊した者は器物損壊罪となり、以下のような刑が科せられます。(※2)
- 3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料
車は高額な資産であるうえに、生活必需品としての役割が大きいため、被害者の精神的苦痛も少なくありません。また、イタズラ行為によって車の修理費用が高額になるケースもあるため、民事上の賠償責任を追及できる可能性があります。
損害賠償を請求できる
上述のとおり、車にイタズラした相手に対しては、損害賠償として修理費や代車費用、場合によっては精神的苦痛に対する慰謝料などを請求できます。具体的には、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求が認められるケースに該当します。
ただし、損害賠償を請求するには、加害者の行為と損害の因果関係を証明する必要があります。つまり、「この人物の特定の行為によって車が破損し、これだけの被害額が生じた」ということを示す証拠が求められるのです。もし証拠が不十分だと、相手に反論されて争いが長期化するリスクがあります。
車にイタズラされた場合は、単に警察への被害届を出すだけでなく、防犯カメラやドラレコの映像、写真、張り込みの記録など、可能な限りしっかりとした証拠を集めることが重要です。後々の法的手続きや保険請求の際にも、これらの証拠が大きな力となります。
犯人特定には探偵への相談も有効

車へのイタズラは器物損壊罪に該当する犯罪行為であり、再犯のリスクや精神的ストレスを考えると放置するのは得策ではありません。警察は被害届を受理してくれれば捜査に着手します。しかし、他の優先度の高い事件が多い場合、証拠がそろっていないと捜査が後回しになってしまうことも考えられます。
より積極的に証拠を集めたい場合や、早急に対処したい場合には、探偵事務所に相談することが有力な選択肢となります。探偵は人探しや浮気調査だけでなく、車へのイタズラや器物損壊の犯人特定にも対応しているケースがあります。調査員による現場での張り込み、防犯カメラ映像の解析、周辺住民への聞き込みなど、さまざまな調査手法を駆使して犯人の姿を捉えようとします。
探偵に犯人特定を依頼するメリットは次のとおりです。
- 専門的なスキルを持っている
- 専門家を紹介してくれる
専門的なスキルを持っている
探偵は証拠収集のために必要な専門的なスキルを持っています。一般人が張り込みや尾行をしようとしても、対象に気付かれたり、危険な状況に陥る可能性があるでしょう。
一方、調査のプロである探偵なら、長時間の張り込みや暗所での撮影、防犯カメラの隠蔽設置など専門的なスキルで対応してくれます。
専門家を紹介してくれる
探偵によっては、調査終了後に弁護士を紹介してくれるケースもあるでしょう。弁護士を紹介してもらえれば、自分で探す手間が省けるうえ、損害賠償請求などの場面で大きなサポートを得られます。
車へのイタズラ犯特定は証拠を集めよう
車へのイタズラが発生したら警察に被害届を提出しましょう。車へのイタズラは器物損壊罪に該当し、刑事事件として取り扱われる可能性があるためです。また、犯人に対して損害賠償を請求できる可能性もあります。
車へのイタズラで被害届を出すには現場の写真や防犯カメラの映像など客観的な証拠をできるだけ用意しておきましょう。証拠収集や犯人特定は自力でも可能ですが、危険に晒される可能性があります。そのため、探偵に調査を依頼するのがおすすめです。
車へのイタズラでお悩みの方はアイヴィ・サービスにご相談ください。アイヴィ・サービスではさまざまな証拠収集に対応しています。
(※1)国土交通省「自動車用の映像記録型 ドライブレコーダー装置について 令和2年10月13日~10月26日実施」
https://www.mlit.go.jp/monitor/R2-kadai01/15.pdf
(※2)e-Gov法令検索「刑法」 第二百六十一条(器物破損等)
https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_40-At_261