裁判所が発表した『令和3年 司法統計年報(家事編) 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別』によれば、離婚の理由は夫、妻ともに性格が合わなかったことが最多でした。
異性関係が原因で離婚したという人は夫は全体で3位、妻は5位でした。
順位こそ1位ではありませんでしたが、浮気(異性関係)は離婚の大きな理由になることが分かります。(※1)
では、夫もしくは妻が浮気をしたことを証明するにはどうすればよいのでしょうか。
この記事では浮気のような不貞行為の証拠を出すタイミングや立証するための要件について紹介します。
(※1)裁判所:令和3年 司法統計年報(家事編) 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別 P1
不貞行為の証拠を出すタイミングは相手が嘘の言い訳をしてきた後
パートナーが不貞行為をしていることの証拠を出すタイミングは、相手が嘘の言い訳をしてきた後が効果的です。
証拠が不十分なのに結果を急いで相手に見せると、シラを切られる、嘘をつかれるという結果になりかねません。
さらに相手は自分が浮気調査されていることに気付いてしまうため、浮気相手と会うのを控える、証拠を消すといった行動をとるでしょう。
そうなってしまってはパートナーの不貞行為を探るのは難しくなってしまいます。
不貞行為の証拠が集まったら、まずはパートナーと話し合ってみましょう。浮気について問い詰めると、相手は嘘の言い訳をしてくるかもしれません。
言い訳に矛盾が見つかったタイミングで不貞行為の証拠を提出しましょう。矛盾点を証拠で示すことで、相手は不貞行為を認めざるを得なくなるでしょう。
不貞行為の証拠を出す際の注意点やケース別のポイント
夫(妻)の不貞行為を記録した証拠は、相手に出す際のタイミング以外にも次のような注意点があります。
- 証拠はできるだけ多く用意する
- 証拠を使う順番にも気を付ける
- 離婚を希望していない場合:相手を追い詰めすぎない
- 離婚や慰謝料請求を求める場合:強い証拠はとっておく
相手との話し合いを有利に進めるためには、上記の4つのポイントを押さえておきましょう。
証拠はできるだけ多く用意する
不貞行使の証拠はひとつではなく、複数用意しておくのがおすすめです。例えばパートナーと浮気相手とのメッセージのやり取りだけでは、不貞の証拠とならないでしょう。
しかし、パートナーが浮気相手とラブホテルに出入りする写真も撮影できれば不貞行為の証拠となり得ます。
証拠が多いほどパートナーが不貞行為をしていたと認められやすくなるでしょう。
証拠を使う順番にも気を付ける
夫や妻の不貞行為の証拠は出すタイミングだけでなく、順番にも注意が必要です。
例えばパートナーと浮気相手が肩を組んで歩いている写真、ラブホテルに入室する写真を証拠として持っていたとします。先にホテルに入室する写真を見せてしまうと、もう一枚の写真も相手に見せてしまう可能性があります。
そのため、相手の嘘に応じた順で証拠を使うようにしましょう。
離婚を希望していない場合:相手を追い詰めすぎない
不貞行為の証拠の使い方は離婚するのか、関係を修復するのか、ケースによって異なります。パートナーとの離婚までは考えていない場合、不貞行為の証拠であまり相手を追い詰めないことが大切です。
不貞行為を証拠とともに指摘した場合、パートナーから離婚を切り出される可能性があります。しかし、一般的に浮気している側である有責配偶者からの離婚請求は認められません。そのため、不貞行為の証拠は相手から離婚を切り出されたときの回避策としても機能するでしょう。
また、不貞行為の証拠はパートナーとの離婚ではなく、浮気相手に慰謝料を請求する際にも役立ちます。
離婚や慰謝料請求を求める場合:強い証拠はとっておく
パートナーの不貞行為を理由に離婚したいのであれば、証拠集めが完了する前に離婚や慰謝料請求したいことを伝えないようにしましょう。
また、離婚や慰謝料請求を検討している場合、次のようなインパクトの強い証拠は出さずに裁判までとっておくのがおすすめです。
- パートナーと浮気相手が裸で写っている画像や動画
- ラブホテルに出入りしている写真
- 肉体関係があったことが判断できるメールやメッセージ
話し合いの段階でこのような証拠を出してしまうと、裁判に発展した際、対策を練ってくる可能性があります。
対策を取られないために強い証拠はパートナーに見せないで、話し合い時にはそれ以外の証拠を見せるようにしましょう。
不貞行為を立証するための要件
夫や妻の不貞行為を立証するためにはどのような要件を満たす必要があるのでしょうか。
一般的に不貞行為を立証するための要件として証拠が欠かせません。しかし、ひとつの証拠だけでは言い逃れができてしまいます。
そのため、いくつもの証拠を用意しておくことが大切です。ここでは不貞行為を立証するために効果的な証拠について解説します。
不貞行為の証拠となるもの
一般的に不貞行為の証拠となるものは次のようなものです。
証拠となるもの | ポイント |
---|---|
浮気現場を押さえた写真 | 男女の関係性がわかるホテルに入っていく、出てくるのがわかる撮影時刻が写真から判断できる |
ラブホテルほか宿泊施設のレシートなど | 印字されている時刻がいつか 宿泊施設の所在地などがわかるか |
ラブホテルほか宿泊施設のレシートなど | 不貞行為があったことがストレートに表現されているか(「ホテル」「気持ちよかった」などの文章がある) |
画像データ | 性行為中の画像や浮気相手の裸などがあるか |
探偵の調査報告書 | 写真や動画、報告文がはっきりしているか |
録音データ | パートナーと浮気相手との会話が録音できているか |
証拠となるかどうかは、どこまで不貞行為を推測できるかにかかってきます。そのため、「昨日はありがとう!」程度のメッセージでは不貞行為の証拠とはいえません。
しかし、パートナーが外泊(外出)した事実を掴めていれば、証拠として機能する可能性があります。
このように証拠はひとつではなく、いくつも合わせることでより不貞行為が認められるでしょう。
なお、録音データは証拠として認められる一方で、相手の了承を得る必要があります。パートナーもしくは浮気相手から録音の許可を得ようとしても断られるでしょう。
そのため、実際は証拠として入手するのは難しいと考えられます。無断で録音した場合、プライバシーの侵害にあたり別のトラブルに発展しかねません。
不貞行為の証拠にならないもの
不貞行為の証拠とならないものは次のとおりです。
- 浮気相手との親密なメールやメッセージ
- 浮気相手と一緒に写っている画像
- 電話記録
- 浮気相手と一緒に食事をしていたことを示すレシート
- 浮気相手に購入したプレゼントのレシート
- ラブホテルやシティホテルのポイントカード
いずれもパートナーが浮気をしていることの証明になるかもしれませんが、不貞行為の証拠とはなりません。
しかし、一つひとつは不貞行為の証明にならないとしても、複数を組み合わせることで証拠として機能する可能性があります。
そのため、弁護士をはじめとした専門家に相談してみるのがおすすめです。
慰謝料請求を求める場合は不貞行為の時効に注意
不貞行為の証拠を集めて慰謝料を請求する際は、時効に注意しましょう。不貞行為の時効は基本的に3年です。しかし、次のとおり慰謝料請求の名目によっていつから3年後とするかが異なります。(※2)
- 不貞行為自体への慰謝料請求:不貞行為を知ってから3年
- 不貞行為で婚姻関係が破綻したことへの慰謝料請求:婚姻関係の破綻から3年
- 不貞行為により離婚したことへの慰謝料請求:離婚から3年
例えば不貞行為自体への慰謝料請求が時効を迎えてしまっていても、不貞行為の発覚から5年後に離婚しているのであれば、離婚に対しての慰謝料請求は間に合う可能性があります。
(※2)e-Gov法令検索 民法第七百二十四条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089#Mp-At_724
不貞行為の相手がわからなければ20年の除斥期間が設けられている
パートナーが浮気をしていることが分かっても、浮気相手が誰だか分からなければ時効は進みません。浮気相手が分からなければ20年の除斥期間が設けられます。20年の間に相手を特定すれば、特定から3年以内の慰謝料請求が可能です。
しかし、不貞行為の事実を把握していながらあえて相手を特定しない場合、裁判で時効が成立していると認められてしまうかもしれません。そのため、パートナーの不貞行為が疑われる場合は早めに相手を特定しましょう。
不貞行為を相手が認めないときのケース別対処法
パートナーの不貞行為についての証拠を集めても、相手が認めないケースがあります。相手が不貞行為を認めない場合は次のように対処しましょう。
- 浮気相手が不貞行為を認めない:配偶者の自白があれば慰謝料請求可能
- 証拠を出しても認めない:証拠の客観性を確認してから裁判をする
- 証拠が弱く相手にはぐらかされる:探偵に依頼して具体的な証拠を集める
ケースごとに対処法が異なるため、自身のケースに応じた方法で対処することが大切です。
浮気相手が不貞行為を認めない:配偶者の自白があれば慰謝料請求可能
浮気相手が不貞行為を認めないケースです。このケースでは配偶者が不貞行為を認めているかどうかが大きなポイントになります。
配偶者が自白しているのであれば慰謝料の請求が可能でしょう。
配偶者が自白していることを証明するためには、本人に書面を用意してもらう、自白を録音するといった方法が挙げられます。
どちらの場合であっても、自白は写真などの証拠よりも証明する力が弱いため、いつ、どこで、誰と、何をしたかを明確に記録しましょう。
また、浮気相手がパートナーと不貞行為に及んだことが故意なのか過失なのかも重要です。例えば、パートナーが既婚者であることを隠していた場合、浮気相手には慰謝料を請求できないのが一般的です。
証拠を出しても認めない:証拠の客観性を確認してから裁判をする
集めた証拠を出してもパートナーが不貞行為を認めない可能性があります。証拠を出してもパートナーが不貞行為を認めないのであれば、証拠の客観性を確認しておきましょう。
裁判に発展した際、不貞行為があったと客観的に考えられる証拠が求められます。そのため、裁判を想定して証拠に客観性があるのかの確認が必要です。
証拠が弱く相手にはぐらかされる:探偵に依頼して具体的な証拠を集める
証拠を出してもパートナーにはぐらかされてしまう場合は、証拠が弱い可能性があります。例えば、浮気相手とのただのメッセージのやり取りでは、はぐらかされてしまうかもしれません。
証拠を出してもパートナーにはぐらかされてしまうのであれば、より強い証拠を集める必要があります。
しかし、パートナーと浮気相手とがホテルに入室する場所の写真など、強い証拠を自分で集めるのは時間と労力がかかります。また、場合によっては決定的な証拠を集められないかもしれません。
具体的な証拠集めは探偵に依頼するのがおすすめです。探偵であれば、長年の経験を活かしてパートナーと浮気相手に気付かれることなく強い証拠を集めてくれるでしょう。さらに探偵から渡される調査報告書は証拠としても機能します。
証拠を集めてパートナーの不貞行為を証明しよう
パートナーが不貞行為に及んでいることを証明するには証拠集めが欠かせません。しかし、パートナーと浮気相手のちょっとしたメッセージのやり取りなど、なかには不貞行為の証拠にならないものもあります。
そのため、パートナーが不貞行為をしていることを客観的に証明できるような証拠を複数用意しておきましょう。
なお、集めた証拠をパートナーに見せるにはタイミングを見計らうことが大切です。パートナーが不貞行為について言い訳をしてきたら、証拠を提示するようにしましょう。
パートナーの不貞行為についての証拠集めはアイヴィ・サービスにご相談ください。
アイヴィ・サービスは慰謝料請求や離婚裁判に効果的な証拠集めをサポートしています。尾行や張り込み、聞き込みなどを駆使して証拠集めを進めていきます。弁護士やカウンセリングの紹介など、調査終了後のアフターフォローも徹底しています。
パートナーが浮気をしている気がする、他の異性と頻繁に会っているなどでお悩みの方はぜひご相談ください。