「夫や妻が浮気をしているかもしれない」と感じたら、ついつい自分で浮気調査を進めたくなるかもしれません。しかし、浮気調査の方法によってはストーカー規制法に抵触する恐れがあります。ストーカー規制法に抵触した場合、罰則を科せられてしまいます。
この記事ではストーカー規制法の概要やストーカー規制法の対象となり得る浮気調査について解説します。
ストーカー規制法とは
ストーカー規制法とはストーカー行為を規制するために2000年に制定・施行された法律です。(※1)
ストーカー規制法は2000年に制定されて以降、何度か改正が行われています。
その結果、つきまといや待ち伏せなどだけでなく、メールの連続送信、SNSにおけるメッセージの連続送信なども規制対象となりました。
(※1)警察庁:ストーカー事件をめぐる情勢とこれまでの主な経緯【警察庁】https://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/siryo/pdf/bo86-1.pdf P1
ストーカー規制法違反の罰則
ストーカー規制法に違反すると悪質さに応じた対応が取られます。例えばストーカー行為をしている人間に対して警察は警告を、都道府県公安委員会は禁止命令を言い渡せます。警告や禁止命令に背くと6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科せられます。(※2)
また、警告、禁止命令を無視してストーカー行為を繰り返した人間に対しては2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科せられる可能性があるでしょう。
なお、ストーカー規制法に違反したからといって、必ず警告もしくは禁令命令が下されるわけではありません。ケースによって被害が発生している場合は1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
ストーカー行為のなかには他の刑法に抵触することもあります。例えば、相手の自宅敷地内に勝手に侵入する行為は住居侵入罪として3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金が科せられてしまうかもしれません。(※3)
このようにストーカー行為はストーカー規制法以外に刑法に抵触する恐れがあります。
(※2)警視庁:ストーカー規制法
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/dv/kiseho.html
(※3)e-Gov法令検索:刑法
浮気調査でストーカー扱い?規制対象となる3つのケース
ストーカー規制法ではつきまといやメールの大量送信などを規制しています。
浮気調査で行う行動も規制対象となりかねません。例えば次のような浮気調査の手段はストーカー規制法の対象となり得ます。
- 相手を尾行する
- 相手の行動先を見張る・うろつく
- GPS等で相手の許可なく位置情報を取得する
1. 相手を尾行する
浮気調査としてパートナーと浮気相手を尾行するのは、ストーカー規制法に抵触してしまうかもしれません。
とくに婚姻関係にない恋人や浮気相手を尾行するケースではストーカー規制法違反と見なされる可能性が高いでしょう。
一方、慰謝料請求のために婚姻関係にあるパートナーを尾行する行為はストーカー規制法違反にあたらない可能性があります。
2. 相手の行動先を見張る・うろつく
パートナーや浮気相手の行動先を見張る、うろつくといった行為はストーカー規制法違反になりかねません。
例えば浮気相手の自宅や職場を見張る、周辺をうろついてしまった場合、ストーカー規制法違反に問われる可能性があります。
また、浮気相手の動向を観察するために自宅や職場に無断で侵入する行為は、住居侵入の罪に問われるでしょう。
3. GPS等で相手の許可なく位置情報を取得する
2021年に改正ストーカー規制法が施行されました。改正によってGPSなどを用いてパートナーや浮気相手の許可なく位置情報を取得する行為も禁止されています。(※4)
また、パートナーや浮気相手の私物にGPSを無断で取り付ける行為も規制対象です。そのため、GPSを用いた浮気調査はストーカー規制法に違反する恐れがあります。なお、夫婦共有の物にGPSを取り付ける行為は違法性が低いと考えられています。
パートナーや浮気相手の私物にGPSを無断で設置する行為はストーカー規制法違反を問われるだけではありません。器物損壊罪に問われる可能性があります。さらに、民法におけるプライバシーの侵害に問われ、慰謝料を請求されてしまうかもしれません。
(※4)警察庁:ストーカー規制法が改正されました!
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/R03kaisei/index.html
ストーカーと疑われずに浮気調査をするには
ストーカーと疑われずに浮気調査をするには、パートナーや浮気相手のプライバシーを侵害しない、探偵に相談するといった方法が挙げられます。
浮気調査には専門的な知識が求められるため、探偵に依頼するのがおすすめです。
相手のプライバシーを侵害しない
自分で浮気調査をするには相手のプライバシーを侵害しないことが大切です。浮気相手を調査するとなると、接触する手段が少ないためプライバシーを侵害する可能性が高いでしょう。
一方、夫や妻の浮気を調査するのであれば、夫婦の共有スペースに浮気の証拠がないかを確認してみましょう。パートナーの部屋や机、スマートフォンを勝手に見る行為はプライバシーの侵害に問われる可能性があります。
しかし、夫婦共有物にGPSを取り付ける行為はストーカー規制法、プライバシー侵害法に問われる可能性は低いでしょう。
探偵に相談する
ストーカーを疑われずに浮気調査をするなら、探偵への相談を検討してみましょう。探偵はストーカー規制法やプライバシー侵害のほか、浮気調査に関わる法律についての知識を備えています。
また、探偵はパートナーや浮気相手に気付かれることなく浮気調査を進めてくれるでしょう。
探偵の浮気調査が違法にならない理由
探偵は浮気調査をする際に尾行や張り込みを行います。このような行為はストーカー規制法の規制対象です。
しかし、探偵の浮気調査が違法にならないのは次のような2つが大きな理由です。
- ストーカー規制法の規制行為の定義と異なる
- 探偵業法で認められている
ストーカー規制法の規制行為の定義と異なる
ストーカー規制法では規制対象となるストーカー行為について次のように定義しています。
‟この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう”
”この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいう”
引用:e-Gov法令検索|ストーカー行為等の規制等に関する法律
つまり、恋愛感情や怨恨によるストーカー行為や相手の安全や名誉、自由を脅かすストーカー行為を禁止しているといえます。探偵による浮気調査はいずれにも当てはまらないため、ストーカー規制法の対象とはなりません。
探偵業法で認められている
探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)では探偵の業務について次のとおり定義しています。
‟この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう”
引用:e-Gov法令検索|探偵業の業務の適正化に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC1000000060_20230616_505AC0000000063
つまり、探偵による尾行や張り込みは、探偵業法で認められた行為といえるでしょう。そのため、ストーカー規制法の規制対象として取り締まられることはありません。
例外的なケースもあるので注意
探偵による尾行や張り込みは、原則としてはストーカー規制法には抵触しません。しかし、探偵業の届けを都道府県の公安委員会に提出していない場合は、探偵業法に違反しているうえに、ストーカー規制法に抵触する恐れがあります。
このような違法な探偵に浮気調査を依頼しないためには探偵業届けを提出しているか状況確認が必要です。一般的に探偵業届けを提出していればホームページに掲載されています。
浮気調査のリスクを把握して探偵に依頼しよう
自分で浮気調査を進める場合、尾行や張り込み、さらにはGPSを使った位置情報の把握がストーカー規制法の対象になる可能性があります。ストーカー規制法に抵触してしまうと最長2年以下の懲役を科せられるかもしれません。
また、自分で浮気調査を進めるとストーカー規制法以外にも住居侵入やプライバシーの侵害などに問われる可能性もあります。このようなリスクを回避するには探偵に浮気調査を依頼してみましょう。
探偵の調査はストーカー規制法で定義するストーカー行為にあたらないうえに、探偵業法で尾行や張り込みが認められています。アイヴィ・サービスは適切な方法で浮気調査をサポートしています。探偵業の届けも提出しているため、安心してご依頼いただけます。