パートナーが不倫をしている場合、一般的には不倫の事実を隠すでしょう。しかし、さまざまな理由からパートナーが自らの非を認めて、不倫していたことを自白するケースがあります。パートナーが自ら不倫の非を認めた場合、慰謝料請求の際に役に立つのでしょうか。
この記事ではパートナーが自ら不倫について告白する気持ちや証拠として機能するのかどうかなどを解説します。パートナーの不倫について悩んでいるという方はぜひ参考にしてください。
不倫を自白するパートナーの気持ち
不倫をしているパートナーにとって、自分が不倫をしていることを自白するのは不利に働きます。
それにも関わらず不倫を自白してしまうのは、次のような気持ちが理由と考えられます。
- 離婚をしたい
- 不倫相手ともめている
離婚をしたい
パートナーに対して不倫をしていることを自白する理由として、離婚をしたいと考えているケースがあります。パートナーと離婚して不倫相手と新たな生活を始めたいと望んでいる場合、不倫を自白して関係性を精算しようとします。
なかには不倫をパートナーに黙ったまま離婚をすることに罪悪感を覚え、自白する人もいるでしょう。
不倫相手ともめている
不倫相手ともめている、不倫相手とトラブルになっていることでも自白するパートナーがいます。例えば不倫相手と金銭的なトラブルが発生してしまったことで、パートナーに相談しなければならず、結果として自白することがあります。
また、不倫相手との別れ話がこじれたことで、相手から迷惑行為を受け、パートナーに自白するケースもあるでしょう。
不倫の自白は証拠になる
パートナーからされた不倫の自白は証拠として機能します。他人から強要されたのでなく、自ら自白したのであれば、証拠として認められる可能性が高いでしょう。不倫の自白のなかでも、証拠としての高い機能が期待できるのが、第三者が同席している状態での自白です。
パートナーによる自白は不倫の証拠になるため、慰謝料請求の際に役立つでしょう。
不倫の自白を証拠として押さえる方法
不倫の自白は証拠として機能しますが、ただパートナーから耳にしただけでは証拠としての効果が期待できません。例えば不倫の自白を理由に慰謝料を請求したとしても、いざというときにパートナーが否定する可能性があります。
自白を証拠として機能させるためには次のようなことをこころがけましょう。
- 書面に残す
- 音声データに残す
- 動画データに残す
書面に残す
パートナーが不倫を自白したのであれば、その内容を書面に残しましょう。不倫の自白内容を書面に残すのであれば、可能な限り詳細に記録します。曖昧な情報では不倫の証拠として機能しない可能性があります。詳細な記録を残すには次のような点を意識しましょう。
- 不倫の詳細:不倫がスタートした日付、頻度、会っていた場所など詳細な事実
- 書面を作成した日付:書類を作成した日付
- 署名:パートナーと不倫相手の署名や押印
書面に残す際は紛失のリスクもあります。紛失リスクに備えて書面だけでなくデータも用意しておきましょう。
不倫がスタートした時期は慰謝料の額にも関わります。そのため、漏れなく書面に残すことが大切です。
音声データに残す
パートナーが不倫を自白した際は自白内容を音声データに残すこともおすすめです。しかし、急にパートナーが自白を始めたといったケースでは、すぐに書面に残せません。このような場合は、スマートフォンの録音機能を活用して音声データとして証拠を残しましょう。
音声データとして証拠を残す際は、次のような内容を聞き出すことがポイントです。
- 不倫の事実
- 不倫をした相手の名前
- 不倫が始まった時期、回数、会っていた場所など
上記を網羅していない曖昧な証言では、証拠として機能しない可能性があります。
音声データとして証拠を残す際は内容だけでなく、録音の質にも注意が必要です。ノイズが入っている、周りの音が大きいなど、自白が聞き取りづらい場合は証拠として機能しない可能性があります。
動画データに残す
音声ではなく、動画でパートナーが不倫を自白している様子を捉えることも、証拠としての機能を期待できるでしょう。動画データであれば、書面や音声では伝わりづらい表情までも押さえられます。
書面や音声の場合、証拠を見るだけでは本人が自白を強要されていないとは判断しきれません。一方、動画データであればパートナーの様子が分かるため、自白の強要ではないかどうかも判断しやすいでしょう。
不倫の自白を動画データに残す際も、不倫の詳細をしっかりと聞き出す必要があります。また、可能な限り解像度の高いカメラで明るい場所で撮影することが大切です。撮影した動画データは、破損に備えて複数の端末やクラウドに保存しておきましょう。
不倫の自白を得る際の注意点
パートナーから不倫の自白を得る際は次のような注意点を押さえておくことが大切です。
- 自白を強要しない
- 証拠になるのは本人の証言のみ
- どれだけ信用できるか
これらの注意点を押さえないでいると、自白が証拠として機能しない可能性があります。
自白を強要しない
パートナーによる不倫の自白は証拠として機能します。しかし、自白を強要してしまうと証拠としては機能しません。
自白の強要は証拠にならないだけではありません。次のような法的リスクもはらんでいます。(※1)
抵触する法律 | 具体例 | 罰則 |
---|---|---|
暴行罪 | パートナーに暴行を加える | 2年以下の懲役あるいは30万円以下の罰金または拘留か科料 |
傷害罪 | パートナーの身体を傷つけケガを負わせる | 15年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
強要罪 | 脅迫して自白を強要する | 3年以下の懲役 |
このように、自白を強要すると証拠としての効力がなくなるだけでなく、自身が処罰されかねません。
(※1)e-GoV法令検索 「刑法」
証拠になるのは本人の証言のみ
不倫の自白は本人の証言しか証拠になりません。本人とは、不倫をしているパートナーとその不倫相手です。例えば友人がパートナーの不倫を証言してくれたとしても、証拠としては機能しません。
本人以外の証言はあくまでも浮気を疑うきっかけとして捉え、証拠としては本人の自白を活用しましょう。
どれだけ信用できるか
パートナーによる不倫の自白はどれだけ信用できるかがポイントです。例えば慰謝料請求のための裁判に証拠を提出したとしても、信頼できないと判断された場合、証拠として認められません。
パートナーによる不倫の自白を証拠として機能させるには、次のようなポイントを押さえておきましょう。
- なぜ自白したのかが分かる
- 自白内容と不倫の実体とに一貫性がある
- 自白した日時や場所が分かる
- 第三者に証言・証拠と整合性が取れている
- 自白した日のパートナーの体調
不倫の自白が慰謝料に及ぼす影響
パートナーによる不倫の自白が慰謝料にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでは不倫の自白が慰謝料に及ぼす影響について解説します。
自白によって慰謝料が高くなるケース
不倫の慰謝料が高くなるかどうかに自白が影響を及ぼす可能性は少ないでしょう。
不倫の慰謝料が高くなるのは自白という行為そのものではなく、次のようなケースに当てはまるかどうかです。
- 不倫の期間が長い
- 不貞行為の回数が多い
- 婚姻関係が長い
- 小さな子どもがいる
- パートナーの不倫によって病気になった
不倫の期間が長い
パートナーの不倫期間が長いほど請求できる慰謝料は高くなる傾向にあります。これは不倫の期間が長ければ長いほど、精神的な苦痛が大きいと判断されるためです。
一般的に不倫期間が5年以上にわたると慰謝料が高くなります。
不貞行為の回数が多い
パートナーが不倫相手と及んだ不貞行為(肉体関係)の回数が多いと、慰謝料が高くなる可能性があります。不貞行為の度に精神的な苦痛がもたらされたと判断されるためです。
婚姻関係が長い
婚姻関係が長いと請求できる慰謝料が高くなる可能性があります。婚姻関係が長い場合、不倫によって夫婦関係が解消された際のストレスが多いと判断されるためです。
10年を超える場合、10年未満のケースよりも倍近い慰謝料を請求できる可能性があります。
小さな子どもがいる
パートナーとの間に小さな子どもがいることも慰謝料を左右します。小さな子どもがいる場合、いない場合もしくは子どもが成長している場合よりも、慰謝料が高くなる可能性があるでしょう。
小さな子どもの育児中にも関わらず、パートナーに不倫されたことによる精神的苦痛に配慮して慰謝料が高くなります。
パートナーの不倫によって病気になった
パートナーが不倫したことで、うつ病をはじめとした病気になってしまうことがあります。このようにパートナーの不倫によって病気になってしまった場合、慰謝料の請求額が高くなる可能性があるでしょう。
病気になってしまった精神的な苦痛だけでなく、医療費、病気による就労困難になったことによる配慮も考えられます。
パートナーの不倫によって病気になった場合、請求できる慰謝料は高くなりますが、医師の証明書が欠かせません。
自白によって慰謝料が低くなるケース
一般的には自白そのもので請求できる慰謝料が低くなる可能性は少ないでしょう。しかし、慰謝料金額決定の裁判では裁判官の裁量も影響するため、自白をしたうえに深く反省していることが認められれば、慰謝料が低くなってしまう場合もあるかもしれません。
また、パートナーが不倫相手と1回しか関係を持っていなかったというように、不倫期間が短かった場合は慰謝料が低くなる可能性があります。さらに、不倫前から夫婦関係が円満ではなかった場合も慰謝料が低くなりかねません。
慰謝料請求が認められないケース
パートナーが不倫を自白したからといって、必ずしも慰謝料請求が認められるわけではありません。パートナーが不倫をする以前から別居していた、不倫相手と肉体関係がなかったという場合は慰謝料請求が認められないのが一般的です。
そもそも慰謝料請求の時効が切れていた
慰謝料請求が認められないケースとして挙げられるのが、慰謝料請求の時効切れです。
不倫による慰謝料請求には時効が存在しています。不倫の慰謝料請求が認められるのは、不倫の事実と不倫相手の詳細を把握してから3年が原則です。3年が経過してしまうと慰謝料請求はできません。
不倫相手の詳細が分からなかった場合、時効は発生しません。しかし、不倫があってから20年経過していると、不倫の事実や不倫相手が誰だか知らなかったとしても、慰謝料請求の時効が切れてしまいます。
慰謝料請求の時効切れを迎える前に、不倫の事実や不倫相手について把握したら、すぐに証拠を集めましょう。
不倫の慰謝料を請求するなら他の証拠も集める
パートナーが不倫を自白したことは、慰謝料請求のための証拠になります。しかし、いざというときにパートナーや不倫相手が自白を否定する可能性があるでしょう。そのため、自白だけでなくほかの証拠も集めることが大切です。
パートナーの不倫を証明するのに有効なのは次のような証拠です。
- 不倫相手との不貞行為(肉体関係)が分かる写真や動画
- 不倫相手との不貞行為が分かるメッセージのやり取り
- 複数の証拠を組み合わせる
- 探偵による調査報告書
不倫相手との不貞行為(肉体関係)が分かる写真や動画
不倫の慰謝料請求のためには、不貞行為の有無が客観的に分かることが大切です。パートナーと不倫相手の不貞行為が分かる写真や動画があれば、決定的な浮気の証拠となります。
しかし、不貞行為が分かる直接的な写真や動画を見つけるのは難しいでしょう。そのため、パートナーが不倫相手とラブホテルに入室・退室する場所を写真、動画におさめるのが効果的です。
ラブホテルに入室、退室する場所を押さえる際は、いつどのラブホテルに入室したかが分かることがポイントです。
不倫相手との不貞行為が分かるメッセージのやり取り
パートナーと不倫相手との不貞行為が分かるメッセージのやり取りも、証拠として機能する可能性があります。
不貞行為が分かるメッセージを見つけた場合、前後のメッセージも確認しましょう。一通だけ切り取ると不貞行為を思わせるメッセージであっても、前後を読むと意味が異なるかもしれません。
不貞行為が分かるメッセージを見つけた場合は、自分のスマートフォンで該当部分を撮影しましょう。スクリーンショットでは加工した画像と疑われ、証拠として認められない可能性があります。
複数の証拠を組み合わせる
パートナーと不倫相手との不貞行為を示す具体的な証拠が見つからなかった場合、複数の証拠を組み合わせることを検討してみましょう。
例えばレシートやクレジットカードの明細、不倫相手のへの通話記録、不倫相手への一般的なメッセージなど、複数の情報を組み合わせて証拠とします。
探偵による調査報告書
パートナーの不倫を証明する証拠のひとつとして、探偵による調査報告書が挙げられます。探偵による調査報告書には次のような内容が記載されています。
- 不貞行為が分かる鮮明な写真
- 写真を撮影した時期や状況
- 調査現場の最新地図情報
- 調査内容の詳細
上記のような調査報告書であれば、慰謝料請求の際の証拠として機能する可能性が高いでしょう。
調査報告書の記載方法やクオリティは探偵によって異なります。そのため、探偵に不倫調査を依頼するのであれば、どのような調査報告書を提出してくれるのか事前にサンプルを確認させてもらうのがおすすめです。
調査報告書のクオリティに問題があれば、証拠として機能しません。
不倫の自白だけでなくさまざまな証拠を集めよう
パートナーによる不倫の自白は証拠として機能します。口頭で言質を取るだけではなく、文書や写真、動画などのデータとして自白内容を保存しておきましょう。
不倫の自白は証拠として機能するものの、パートナーや不倫相手が否定した場合、証拠としての機能を認められない可能性があります。いざというときのために不倫の自白だけでなく、不貞行為が分かる写真や動画など、その他の証拠も用意しておきましょう。
不貞行為が分かる写真や動画などを自分で集めるのは困難なため、探偵への相談がおすすめです。アイヴィ・サービスでは不倫の調査に対応しています。調査内容に基づいて証拠として機能する調査報告書を提出します。パートナーの不倫に悩んでいるという方はぜひ一度ご相談ください。